国土交通省が「空飛ぶクルマの制度整備に関する検討状況」という資料を公開している。
現在、2025年の大阪・関西万博における空飛ぶクルマの実現に向け、「空の移動革命に向けたロードマップ」に基づいた制度整備を検討している。検討項目は機体関係や離着陸場関係、技能証明関係、運航関係、事業制度関係の5つある。
この記事では、離着陸場関係の検討状況に焦点をあて、解説していく。
▼空飛ぶクルマの制度整備に関する検討状況
https://www.mlit.go.jp/common/001580047.pdf
【参考】関連記事としては「バーティポートとは?「空飛ぶクルマ」の離着陸場」も参照。
■呼称は「バーティポート」、D値を基本に
欧米では、空飛ぶクルマが利用する離着陸場のことを「バーティポート」と呼んでいる。2022年5月にイギリスで世界初のバーティポート「Air-One」がオープンし、話題を呼んだ。日本でも空飛ぶクルマが利用する離着陸場の呼称は、バーティポートとなるようだ。
航空法上、空飛ぶクルマは航空機とされており、バーディーポートは「空港など」に該当するとしている。空飛ぶクルマの離着陸時の運航形態はヘリコプターに近いため、バーディポートは「ヘリポートのうち空飛ぶクルマ専用のもの」と定義されるという。
バーティポートの離着陸帯広さを決定する際の、空飛ぶクルマの機体サイズについて、欧米では「D値」を基準にしている。日本でもD値を基本にするようだ。D値とは、機体の投影面を囲む最小円の直径を指す。
D値を基準に離着陸帯の広さを決めていくわけだが、基本的にD値の2倍とし、機体の性能などによって適宜見直すようだ。D値が12メートル未満の場合には、「1.5D値+6メートル」 とするという。同時に、離着陸帯の強度については、最大離着重量の1.5倍の荷重に耐えられる強度を持つことを基本とし、屋上のポートで必要な強度についても、今後検討を行う。
空飛ぶクルマはヘリコプターと同様に、安全に離着陸できるよう、バーティポートにおいて制限表面を設定し、一定の障害物のない空間を作る必要がある。欧米の動向や機体の性能などから、水平表面と進入表面の設定基準の検討していくようだ。ちなみに、国によっては水平表面が不要なところもあり、水平表面については設定自体をするかどうかも検討するという。
■充電・消化設備と保安検査について
空飛ぶクルマは「電動」であることが1つの特徴だが、現在、国内外の機体メーカーから、具体的な充電方法が示されていない。そのため、充電設備については今後も開発状況を踏まえて検討を続けていくという。
同時に、バッテリー火災に対応できるよう、消化設備の要件も決めなければならないが、バッテリーの詳細や想定すべきバッテリー火災の規模が判明していない。こちらも開発状況を踏まえ検討を続けていくという。
ちなみに、空飛ぶクルマは航空機と定義されていることから、航空法に基づき、搭乗の際には保安検査が必要だ。保安検査の手法については、空飛ぶクルマについても、旅客や施設の規模などを考慮したうえで、柔軟な対応が求められるという。
■2025年に向けて検討が着々と進む
2025年に向けて空飛ぶクルマ関連の検討は着々と進んでいる。引き続き検討が必要な項目も多いが、実用化へ近づいている感は十分だ。
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【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは」も参照。