米Google傘下の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)。自動運転タクシーの商用サービスを展開しているが、このほど交通トラブルを起こした。原因は「霧」だ。
2023年4月11日の早朝、米カリフォルニア州サンフランシスコを走行中、霧の影響で自動運転タクシーの機能がうまく作動せずに停車し、道路をふさいでしまったという。米メディアの報道によると、確かにトラブルが起こった日は濃霧が起きていた。
▼Waymo公式サイト
https://waymo.com/
■「濃霧」に対応しきれず
トラブルを具体的に説明すると、Waymoの自動運転システム「Waymo Driver」をジャガーのEV(電気自動車)「I-PACE」に搭載した自動運転タクシー5台が、サンフランシスコの住宅地の道路で突然停止した。
その理由は、濃霧により自動運転システムの判断能力に乱れが生じ、運転を続けるのは危険だとシステムが判断したからだ。中には道路の中央に停車した自動運転タクシー車両もあり、交通渋滞は時間が経つにつれて悪化した。その後、霧が晴れたことで約6分後にWaymo車は再び走行を始めた。
サンフランシスコのベイエリアでは濃霧が日常的に発生するため、今回のような状況を回避する対策をすぐにすべきだという声が多いようだ。Waymoは「今後このような状況に対応するため、霧に対する対応力などを向上させるソフトウェアアップデートを予定している」とコメントを出した。
なおサンフランシスコ市交通局の広報担当者は「自動運転車が及ぼすプラスとマイナスの影響を測定できるよう、データの収集を州や連邦規制当局に求める」としている。
#Waymo says dense #SanFrancisco fog brought 5 vehicles to a halt on Balboa Terrace streethttps://t.co/uIdxGZAFdg#SelfDrivingCars #AI #IoT #5G #AVs #AutonomousVehicles #autonomous #Robot #startup #startups #SmartCity #robotaxi #Travel #tech #technology #mobility #delivery #auto pic.twitter.com/yhJi2mX779
— guidaautonoma (@guidaautonoma) April 12, 2023
■米国内でトラブル発生が続く
Waymoは自動運転タクシーで先駆的な存在だ。これまでの取り組みを振り返ると、そのことが良く分かる。
Waymoは2018年12月、世界初の自動運転タクシーサービス「Waymo One」をアリゾナ州フェニックス郊外で開始した。その後サンフランシスコにもサービスエリアを拡大し、2023年2月にはロサンゼルスでも走行テストを開始することを発表している。
ただし、Waymoの自動運転タクシーがトラブルと無縁かというと、そうではない。2022年12月には車両が交差点の真ん中に停車し、交通渋滞を引き起こした。
ちなみにライバルのGM傘下のCruiseも、たびたび交通トラブルを起こしている。2022年4月と6月には、Cruiseの複数台の自動運転タクシーが公道をふさぐ形で数時間立ち往生した。また同時期にトヨタのプリウスと衝突事故を起こした。
2023年3月には、サンフランシスコでCruiseの自動運転タクシーが進入禁止テープに絡まり停車したというトラブルが報告されている。前日に発生した嵐の影響により、木や電柱が倒れ、注意喚起のために黄色のテープが設置されていたが、それを検知できなかったようだ。
■自動運転車に求められる「タフさ」
こういった事例を受け、サンフランシスコ交通当局はWaymoとCruiseに対し、安全上の懸念から自動運転タクシーサービスの拡大を遅らせるよう求めているという。報道によると、サンフランシスコ交通当局の関係者は「2社のサービス拡大は不合理である」としている。
さらに、交通問題を引き起こす時間帯や頻度のデータをしっかりと収集することを求め、道路運営や交通サービスに大きな支障を与えることがなくなるまで、中心部での運転を制限することも要望しているという。
単に車両を「自動運転で走らせる」ことはもう難しい段階にはないが、今後は悪天候でも問題ない「タフ」な自動運転車が求められるフェーズにきている。開発各社の挑戦は続く。
【参考】関連記事としては「自動運転タクシー「拡大待った!」 サンフランシスコ交通当局」も参照。