米GM傘下で自動運転開発を手掛けるCruiseは2023年2月27日までに、完全無人の自動運転車が100万マイル(約160万キロ)を走破したことを発表した。最初の完全無人運転での走行開始から15カ月で成し遂げたという。
■莫大な走行データでAIを強化
Cruiseは2021年6月にカリフォルニア州でドライバーレスでの自動運転タクシーサービスの許可を取得し、同年11月より実証実験をスタートした。そして、2022年2月からは一般向けにサービスを開始している。
今回達成した100万マイルの走行は、全てEV(電気自動車)と再生可能エネルギーによるものだったという。発表によれば、合計684トンのCO2排出を削減したことに相当する。
それぞれの車両の走行データは、AI(人工知能)が何百万通りのシミュレーションを作成するために収集されており、1日に5ペタバイトのシミュレーションデータを処理しているという。実際の道路データとシミュレーションデータを組み合わせることで、AIがトレーニングで強化され、走行性能を継続的に向上させることができるという。
なお直近の10万マイルの走行データは、最初の10万マイルに比べ7倍のスピードで収集されたようだ。この情報をもとにソフトウェアは、重要アップデートを14回行い、サンフランシスコでの車両運行を安全かつ迅速に拡大することにつながったようだ。
■トラブル続きのCruiseだが…
2013年創業のCruiseは、2016年にGMに買収された。2021年1月にはGM、Cruise、ホンダの3社が協業を発表し、2022年9月から自動運転モビリティサービス事業専用車両である「クルーズ・オリジン」のテスト走行を米国で行っている。
また、ドバイでの自動運転タクシーサービスの展開に向け、Cruiseはドバイ交通局と契約を結んでおり、自動運転タクシーと配車サービスを2029年まで独占的に展開する予定となっている。
しかし、Cruiseの自動運転車は2022年にカリフォルニアで、立ち往生による交通遮断などのトラブルを数度起こしている。また同年6月には衝突事故を起こし、9月にサンフランシスコで展開中の自動運転タクシー80台のソフトウェアを全てリコールする結果となった。
今後も走行データをスピード感をもって取得しながら自動運転AIの強化に努め、Cruiseは自動運転車がさらに洗練されていくことに期待したい。
▼Cruise公式サイト
https://getcruise.com/
【参考】関連記事としては「自動運転車「人間が必要」 GM CruiseのCEO、弱気発言?」も参照。