ドイツの高級車メーカーであるメルセデス・ベンツは2023年2月27日までに、LiDAR開発の米Luminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)との提携を大幅に拡大することを発表した。
両社はすでに協力関係を築いているが、このたび新たに数十億ドルの契約を結び、メルセデスのレベル3自動運転システム開発に取り組んでいくという。
■パートナーシップ締結からわずか1年
メルセデスとLuminarは、2022年1月に乗用車向け高度自動運転技術開発でパートナーシップを締結している。それからわずか1年あまり。今回結んだ新たな契約では、Luminarの次世代LiDAR「Iris」と関連技術を、今後5年間でメルセデスの次世代生産車の幅広い車種に統合していく計画のようだ。
Irisのアップデートにより、メルセデスの自動運転レベル3の有料オプション「DRIVE PILOT」のユーザー向けに、高速道路で速やかに動作する新しい条件付き自動運転システムや、都市部向けのADAS(先進運転支援システム)を提供できるようになるという。
■メルセデス・ベンツの自動運転計画
メルセデスは、米国で展開している車両に自動運転レベル3の機能を追加することを2023年1月に発表した。DRIVE PILOTと自動車線変更システム「ALC(Automatic Lane Change)」を米国の車両に搭載する計画のようだ。
すでにネバダ州とカリフォルニア州で自動運転レベル3による走行許可申請を出しており、認可されれば米国初の自動運転レベル3搭載の市販車となる予定だ。
■大手メーカーが続々Luminarに注目
Luminarは、CEO(最高経営責任)のオースティン・ラッセル氏が2012年にわずか17歳で創業したLiDAR開発企業だ。トヨタグループのTRI(トヨタリサーチインスティチュート)が実験車に同社のLiDARを採用したほか、ボルボ・カーズやフォルクスワーゲングループともパートナー関係にあることで知られる。
同社が開発するIrisは量産化と低コスト化を実現する次世代LiDARで、大手自動車メーカーが続々と採用を決めている。
今回のメルセデスによる採用について、ラッセル氏は「メルセデスの車両の安全性と性能に対する基準は業界最高水準であり、Luminarの採用を決めたことは、その状況をさらに強化するものだ」と語っている。
大手自動車メーカーからの引き合いが多いLuminarの今後に要注目だ。
▼Luminar Technologies公式サイト
https://www.luminartech.com/
【参考】関連記事としては「天才ラッセル率いるLuminar、ダイムラーと急接近!自動運転向けLiDARを開発」も参照。