住友商事株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:兵頭誠之)はいま、「Advanced Air Mobility」(AAM)を活用した物流事業の構築を目指している。
最近では、次世物流代ソリューションを提供するNEXT DELIVERYが勝浦市商店街活性化推進協議会から受託した「新たな配送サービス構築による商店街等にぎわい創出事業」において、NEXT DELIVERYやエアモビリティを開発するエアロネクスト、セイノーホールディングス、KDDIスマートドローンと連携しているという。
■米OneSky Systemsへの出資にも注目
住友商事のAAMを活用した事業としては、ドローンやUAV(無人航空機)の航空管制システムを開発している米OneSky Systemsへの出資や、将来のAAM複数機運航に向けて量子コンピューティングを活用したリアルタイム三次元交通制御に関する実証や国内外でのドローンサービスの実証、大阪・関西万博を見据えた運航シミュレーションなどに取り組んでいる。
なおAAMとは、「低高度空域を電動・垂直離着陸・自動操縦で運航する次世代航空機による航空物流・交通システム」(※住友商事プレスリリースより)のことだ。同社は今後、AAMの実装により社会課題の解決に挑戦し、ラストワンマイル配送はもちろん、拠点間輸送も含む物流システムの進化や、新たな空の交通網の構築などを進めていくという。
■既存の物流とドローン物流をつなぐ
千葉県勝浦市では2021年からAAMを活用した物流事業の構築と社会実装を推進している。2022年2月にもドローン配送サービスの実証実験を実施済みだ。
住友商事ら5社が進めている「新たな配送サービス構築による商店街等にぎわい創出事業」では、「商店街等ECモールサイト構築・運営及び共同配送業務」や「商店街等ドローン配送導入業務」の構築を目指す。2023年1月18日にはお披露目式も行われ、3月20日まで事業が実施される予定だ。
勝浦市では地域商店と連携したオンデマンド配送や買物代行、フードデリバリーなどのサービスを展開し、特急配送・オンライン診療や医薬品配送・高齢者配食、見守り・ライフセービング・防災などへのサービス拡大を目指していくという。「商店街等のにぎわい創出」と「域内の物流効率化・最適化」、「地域のカーボンニュートラル推進」を主なテーマとして事業を構築していくようだ。
エアロネクストとセイノーHDが共同開発する「新スマート物流SkyHub」で、既存の物流とドローン物流をつなぎ、地上と空のインフラを接続する新スマート物流の仕組みを勝浦市の課題やニーズに合わせて進化させていく。
今後はリアス式海岸や山間部など、勝浦市の各拠点にドローン離発着場を設置して、AAMの物流ルートを巡らせ、既存の物流との連携により持続可能な物流システムを構築していきたいという。ドローンの複数機運航や夜間飛行、レベル4運航など、高度な運航への挑戦もしていくようだ。
■自動運転や空飛ぶクルマ分野に積極アプローチ
自動運転や空飛ぶクルマの分野に積極的に取り組む住友商事。市場拡大が見込まれる領域にいち早くアプローチをしている。今後の動きにも引き続き注目したい。
【参考】関連記事としては「住友商事、イスラエルの自動運転ベンチャーOttopiaに出資 データ伝送で強み」も参照。