自動航行船を開発するスタートアップである株式会社エイトノット(本社:大阪府堺市/代表取締役:木村裕人)は2023年1月23日までに、全国初となる自律航行EV船による一般旅客向け水上タクシーの営業を広島県で開始した。
広島市内の旅客船運行事業者であるバンカー・サプライが、エイトノットが開発した自律航行システム「エイトノット AI CAPTAIN」が搭載された小型EV船を導入し、運航する。
■4つの乗船場所を自由に行き来
エイトノットは2022年6月に広島県「『サキガケ』プロジェクト実証実験実施業務」に採択された。今回の水上タクシーの運航は、その一環として行う。
実施期間は2023年1月19~22日、26~29日の午前10時から午後3時で、市営桟橋、グランドプリンスホテル広島、金輪島、レストランカリブの4つの乗船場所を自由に行き来できる。水上タクシーで観光スポットを遊覧するほか、食事や宿泊を楽しむといったルートを想定しているようだ。
運賃は1便ごとの設定となっており、遊覧の場合30分5,000円、各乗船場所の移動の場合10分1,500円となっている。最大7人まで乗船できるので、遊覧を5人で利用すれば1名あたりの運賃は1,000円となる。
利用の際は、予約サイトまたは電話での事前予約が必要だ。
■2021年3月設立のエイトノット
2021年3月設立のエイトノットは、「あらゆる水上モビリティをロボティクスとAIで自律化する」をミッションとしており、小型船舶向け自律航行技術開発を中心に「海のDX(デジタルトランスフォーメーション)」と「船舶のロボット化」を推進している。
同社が開発する小型船舶向け自律航行プラットフォーム「AI CAPTAIN」は、タブレットの画面で目的地をタップするだけで、目的地までの安全な自動ナビゲーションを行う。目的地に応じた自動ルート設定のほか、障害物・他船回避、定点保持、自動離着桟といった機能を持つ。将来的には、複数の船舶を1台のタブレットで監視できるようにするという。
このように、人の移動を担うモビリティの自動化は、自動車やドローン、そして船でも進んでいる。今後も同社の取り組みには大いに関心が集まりそうだ。
【参考】関連記事としては「瀬戸内海と大阪、自動運転船で接続へ!エイトノットが資金調達」も参照。