無人搬送車などの開発も手掛ける中⻄金属工業株式会社(本社:大阪府大阪市/代表取締役社長:中⻄⻯雄)は、同社の金型製造工場にAMR(自律走行搬送ロボット)を導入したことを2023年1月23日までに発表した。
これにより、年間で最大240万円の運搬に関する人件費削減が見込まれるという。
■将来的には3棟にわたる建屋間搬送
中⻄金属工業が導入したのは、農業機械などを開発する株式会社agbee(本社:埼玉県川越市/代表取締役:塩瀨博之)が研究開発する屋内外対応のAMRだ。これにより、元々は作業員が台車を押していた複数の加工工程間の金型搬送が自動化された。
AMRを使用するにあたり磁気テープなどの誘導体は不要で、AMRはタブレット端末で事前に設定してある走行ルートの中から1つを選択すれば、簡単に使用できる。障害物は3Dによる認識で避けられるという。
今回は1棟の建屋内に導入されたが、最終的には3棟にわたる建屋間搬送を目標にしているようだ。今年春ごろには3棟の各建屋出入口でドアを連携し、一気通貫の屋内外搬送を実現する予定だという。
これを実現し、年間最大720万円の人件費削減を目指していく。そのほか、省力化や物流効率化、安全性の向上などさまざまな効果が期待される。
■農業用機械の開発からスタート
今回発表されたAMRの開発背景は、2014年にさかのぼる。中西金属工業と慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の共同プロジェクトが発足し、中西金属工業の各事業部から5名のメンバーが選抜され、チームが誕生した。当初は農業分野をターゲットとした機械の開発から始まった。
2019年にスピンアウトの形でagbeeが設立された。現在は農業だけでなく、工場や倉庫向けの製品を開発している。2023年春に発売予定の屋内外対応AMR「Carting agbee」は、防水・防塵機能(IP65相当)を搭載しており、雨天でも利用可能となっている。発売前のβ版をお試しで使用する顧客を募集しているという。
導入すると大幅な人件費の削減が実現するという自律走行搬送ロボット。今後の展開に引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「搬送自動化に貢献!LexxPluss、佐川急便に自動運転ロボを導入」も参照。