測量大手のアイサンテクノロジー株式会社(本社:愛知県名古屋市/代表取締役社長:加藤淳)はこのほど、自動運転向けのマップを歩いて作成できるシステム「SEAMS(シームス)」の販売開始を発表した。
■バックパックを背負って歩けば自動運転マップが作製可能
SEAMS(Small, Easy & All-around Mapping System)はバックパック型で、3D-LiDARやカメラ、GNSS(全球測位衛星システム)、IMU(慣性計測装置)が搭載されている。
軽量でコンパクトであり、耐振動性に優れているため、歩きながら全周360度の周囲環境の3次元点群データが取得できる。
従来のモービルマッピングシステムや固定式レーザースキャナーとは異なり、車両が進入できない狭路や走行自体が困難な場所でも、歩行しながら安全に計測可能だ。計測機器を設置できない場所や人の行き来が激しい都市部での計測に有効だという。
■歩道や施設・⼯場の計測にも活用可能
自動運転マップの作成だけでなく、歩道の計測や施設・⼯場の計測、公園・遊歩道の計測、史跡・森林調査、都市部狭隘道路の計測などに活用できるようだ。
SLAM技術を用いることで、GNSSで位置情報が得られない屋内や工場などの施設などであっても正確に位置情報を取得できる。スマートフォンやタブレットと接続することで直感的に使用できるUIも特徴だ。
さらに、アイサンテクノロジーの点群編集システム「WingEarth(ウイングアース)」を使うことで、データ収集から地図作成までを一貫して行える。WingEarthには100億点以上の点群データの利用を支える⾼速3次元点群処理機能が搭載されている。
■SEAMSを開発した「マップフォー」
アイサンテクノロジーが販売開始したSEAMSを開発したのは、自動運転向けの3次元地図の技術開発を手がける株式会社マップフォー(本社:愛知県名古屋市/代表取締役:橘川雄樹)=Map Ⅳ=だ。
マップフォーは2016年9月に設立された名古屋大学発のスタートアップだ。オープンソースの自動運転OS(基本ソフト)「Autoware」を開発するティアフォーのグループ会社でもある。
そんなマップフォーが開発したSEAMS。軽量コンパクトで小回りの効くツールとして、今後さまざまな場所での活躍に期待したい。
【参考】関連記事としては「自動運転向け地図・マップ解説(2022年最新版)」も参照。