米テキサス州、自動運転トラックの「メッカ」に

実証に特別な登録不要、追加保険も求めず



テキサス州はアメリカの中でも、さまざまな物事に対して独自的な判断を行う精神が強い州だと形容されることが少なくない。自動運転に関しては、際立ってほかの州よりも規制が緩めであると米メディアなどに説明されることが多い。


例えば自動運転トラックに関しては、実証実験の実施に関するハードルが低い。米メディアの報道によれば、実施企業に特別な登録を求めず、実証実験の実施に向けて追加的な保険の適用・加入なども必要とされないという。

こうしたテキサス州の特徴は、自動運転トラックの開発を行う企業にとってはかなりのインセンティブ(※モチベーションを増幅させる要因)になると言える。事実、複数の企業が同州で本格的に自動運転トラックを使ったサービスを実用化しようとしている。

例えば、トヨタと提携するAurora Innovation中国系のTuSimpleなどだ。テキサス州ではそもそも貨物物流のマーケットが大きいことも、自動運転トラックを開発する企業に選ばれる要因と1つになっており、テキサス州を自動運転トラックの「聖地」(メッカ)と呼んでも過言ではないかもしれない。

■安全に対する脅威を指摘する消費者団体も

ただし、テキサス州は自動運転トラックに対して柔軟路線を基本方針としているが、テキサス州の団体の中からはこうした州の方針が安全に対する脅威だと指摘する声も上がる。


例えばテキサス州の消費者保護団体であるTexas Watchのメンバーは「実証実験は潜在的に多くの人を危険にさらす可能性がある」としている。

報道などによると、こうした消費者保護団体の指摘に対してテキサス州は明確な回答をしていないようだが、州は自動運転トラックに関する特別チーム(タスクフォース)を設置し、自動運転トラック企業や自動車メーカーの従業員、研究者などとともに安全について議論しているという。

自動運転に関しては「規制ありき」から論じられることが多いが、それとは逆のアプローチをとるテキサス州・・・。自動運転タクシーの実用化などで注目されるカリフォルニア州やアリゾナ州などとともに、「自動運転×アメリカ」という視点ではテキサス州も注目しておきたい州の1つだ。

【参考】関連記事としては「アメリカの自動運転最新事情」も参照。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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