自動車業界の技術者などで構成される「自動車技術会」(JSAE)は2022年4月28日までに、「第72回自動車技術会賞」の受賞者を発表した。自動運転やADAS(先進運転支援機能)領域での受賞も目立ち、自動車技術の進化を如実に感じさせる結果となった。
自動車工学と自動車技術の向上・発展を奨励するため、1951年に創設された自動車技術会賞。第72回で受賞対象となった自動運転やADAS関連の技術を紹介していこう。
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■技術貢献賞:自動運転技術などの実用化に貢献
技術貢献賞を受賞したのは、本田技術研究所の杉本洋一氏だ。技術貢献賞は自動車に関する技術の進歩発達に貢献し、その功績が顕著な個人に贈られる。
杉本氏は自動車の安全運転支援技術に35年間携わる中で、日本初の「電子制御制動力配分システム」や、世界初の「衝突軽減ブレーキ技術の実用化」のために尽力した。
内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)にも参加し、東京臨海部での自動運転システムの実証にも携わった。関連省庁との取り組みにより、自動運転レベル3の実用化のための法整備にも貢献したという。
■技術開発賞:世界初のレベル3自動運転システム
技術開発賞は、レベル3の自動運転システムを世界で初めて実用化したとして、本田技術研究所の加納忠彦氏と四竈真人氏、弘間拓二氏、堀場歩氏、吉田友馬氏が受賞した。同システムは高速道路での渋滞発生時に作動させることができる。
ホンダの自動運転システムは、不安全事象への対応もシステムが担う。万が一システムに不具合が生じた場合にも、ステアリング機能やブレーキ機能、電源系統の冗長化したシステム設計などにより、車両を安全に停車させられることなどが特徴だ。
■技術開発賞:無線更新も可能なTeammate Advanced Drive
同じく技術開発賞したのは、トヨタのTeammate Advanced Driveで、トヨタ自動車の岩崎正裕氏と尾島義敬氏、ウーブン・コアの青木健一郎氏、名波剛氏、西村直樹氏が受賞した。
Teammate Advanced Driveは高度運転支援システムだ。高速道路や自動車専用道路の本線上の走行を支援するシステムで、ハンズオフ機能をはじめ、車線変更や追い越しなどの運転操作の支援も行う。
車両を購入後も無線通信でシステムのソフトウェアを更新し、常に最新の安全技術を提供できる点も評価された。
■今後はより自動運転関連技術の受賞が増える?
自動車業界では、車両の電動化、コネクテッド化、そして自動運転化がいまホットな技術領域だ。来年以降の自動車技術会賞では、より多くの自動運転関連の技術にスポットライトが当たるかもしれない。
ちなみに今回の受賞内容の詳細は、以下のURLから確認することが可能だ。
▼自動車技術会賞・技術教育賞リーフレット
https://www.jsae.or.jp/PR/2022/PR22002/docu/shosai_72.pdf
【参考】関連記事としては「自動車技術会賞、自動運転やADAS領域から3件!日産は2論文で受賞」も参照。