米EV大手テスラがオーナー向けに提供している有料ソフトウェア「FSD(Full Self-Driving)」。ソフトウェア名を直訳すると「完全自動運転」だが、今のところ提供できている機能は「運転支援」レベルにとどまっている。
であれば、ソフトウェア名をFSDとするのは気が早い気もするが、FSDは「OTA」(Over The Air)と呼ばれる無線アップデートによって、いずれは自動運転機能の利用が可能になる予定となっている。イーロン・マスク氏ならではの「前のめり」なネーミングと言える。
そんなFSDについて、興味深いデータがある。テスラ車のオーナー向けに実施された大規模調査において、車の購入者の何%がFSDをインストールしているか調べており、そのパーセンテージが2019年の第2四半期をピークに下がり続けているのだ。
Here is the worldwide table
FSD take rate jumped in Q2 2019 because Tesla changed FSD from including nothing to including all existing main features. It dropped later because the price increased, ASP dropped and China sales increased where FSD rate is low https://t.co/IhbEPZOQu1 pic.twitter.com/rzZfM4xDPU
— Troy Teslike (@TroyTeslike) August 31, 2021
■2019年第2四半期は48%と高かったが……
Forbesなどの米メディアでも引用されているこのデータは、テスラ車の購入者1万7,000人以上を対象に実施された調査の結果だ。購入者がテスラに標準搭載されている運転支援ソフト「Autopilot」を「FSD」にアップグレードした比率を調べている。
調査結果によれば、2017年第1四半期は12%だったが、2019年の第1四半期には25%、第2四半期には46%まで上昇したものの、その後は比率が下落を続け、2021年第2四半期には11%まで落ち込んでいるという。
2021年第3四半期以降のデータは明らかになっていないが、下落基調が続いていた場合、現在は10%を割って1桁%台となっている可能性もある。
■利用率低下の要因は?
なぜこうした結果となっているのか、正確な分析は難しい。しかしテスラはFSDパッケージの価格を2019年から2021年にかけ、5,000ドル前後から1万ドルへと値上げしており、この点は少なからずオーナーの購入意欲を下げたと考えられる。
また2021年に入ってからは、テスラが米カリフォルニア州の車両管理局(DMV)に対し、FSDが自動運転の能力を有していない旨を説明しており、このことも少なからず影響しているかもしれない。
ちなみにこうしたデータは、Teslaに関するデータをTwitterを通じて発信している「@TroyTeslike」(Troy Teslike)のアカウントをフォローしていると容易に入手できる。ご参考までに。
【参考】関連記事としては「テスラ「FSDは自動運転の能力ない」 カリフォルニア州当局に説明」も参照。