監査・コンサルタント会社のデロイト社が発表した最新のグローバル自動車消費者調査によると、中国の消費者の約74%が完全自動運転車が「安全」だと感じていることが分かった。中国メディアなどが報じている。
一方、米国では同種の調査で自動運転車に恐怖を感じている人の割合は73%となっており、対照的な結果となった。巨大市場である中国・米国それぞれの消費者意識に、自動車各社の販売戦略も影響を受ける可能性は高く、今後の動向に注目が集まる。
報道によると、中国の企業はインターネットと自動車の両面からAV技術と製品の開発に投資を強化しており、今後中国の自動車市場が完全自動運転技術のリーダーとしての地位を確立する可能性があると指摘している。
一方、米自動車協会(AAA)が2018年4月に実施し5月に公表した自動運転車に関する調査では、自動運転車の運転に恐怖を感じている人の割合は前年比10%増の73%に達している。米国内では同年3月にライドシェア世界大手ウーバー・テクノロジーズや電気自動車(EV)大手テスラなどが相次いで自動運転車で死亡事故を起こしており、自動運転車に関するネガティブな印象が広がっている可能性が高い。
自動運転の事故まとめ ウーバーやテスラが起こした死亡事故の事例を解説 https://t.co/TCrogQuTNB @jidountenlabさんから
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) June 9, 2018
■別の調査でも同様の傾向に
同様の結果は、技術や安全、証明サービスに関する認証機関のテュフ・ラインランド社が実施した自動運転車の安全性に対する消費者の意識調査からもうかがえる。
中国、ドイツ、米国で運転免許保有者1000人以上を対象に実施した同調査では、無人運転車によって交通安全性が向上すると考える人の割合は、米国とドイツが34%であるのに対し、中国は63%を超える結果となった。
世界全体としては自動運転に対する安全意識は年を追うごとに上がっている傾向にあるが、こうした国ごとの意識の差は消費に直結するため、業界各社の市場戦略にも影響を与える。自動運転分野の成長に力を注ぐ中国政府の姿勢を背景に、巨大な中国市場が自動運転に対しウェルカムムードを前面に出せば、各社が中国市場でのPR戦略をいっそう強めていく可能性は高い。