ソニー株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:吉田憲一郎)は2021年3月30日までに、次世代通信規格「5G」を活用し、グアム島にあるエンターテインメント車両を約2500キロ離れた東京から遠隔操作する実証実験に成功したと発表した。
実証実験は株式会社NTTドコモ(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:井伊基之)と共同で実施され、通信にはドコモの100%子会社であるドコモパシフィック社の5Gを利用したという。
今回の実証実験では、「低遅延性」「大容量」「高速」という5Gの特徴を生かし、グアム島から車両の周辺映像を東京都内のソニー開発拠点にリアルタイム伝送し、東京にいるドライバーが映像を見ながら運転した。実証はグアムの検証用屋外施設で乗客を乗せて実施されたという。
■切っても切れない「自動運転」と「遠隔操作」
「自動運転」と「遠隔操作」は切っても切れない関係だ。
ハンドルやペダルがない自動運転車が故障した場合、管制センターから遠隔操作で車両を操作する必要があるほか、ハンドルなどがある車両であっても無人運転中にトラブルが起きた場合は、リモートでの遠隔操作が必要となる。
そして、車両と管制センターが離れている距離に関わらず、リアルタイムに車両を遠隔操作できることも重要となる。「管制センターと近い場所だけ対応可」だと、車両の移動範囲が制限されることになるからだ。
また遠隔監視を1カ所に集約するという観点からも、遠い場所にいる車両の遠隔操作が可能でなければならない。そういった視点で、今回の実証実験の意義は大きい。ちなみに管制センターの集約は、コスト減や省人化につながるというメリットがある。
■ソニーがモビリティ分野で様々なアプローチ
ソニーはモビリティ分野における取り組みを強化している。
最近ではコンセプトEV(電気自動車)「VISION-S」を開発し、車両への搭載を前提としたエンターテインメントシステムやセンサーの開発を前進させようとしている。また、今回の実証実験で使用されたエンターテインメント車両もソニーが開発したカート型の「SC-1」だ。
モビリティ分野でのアプローチを車両開発や通信などと絡めて展開しているソニーに、引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転視野のソニーVISION-S、公道実証開始!AImotiveと協力も」も参照。