香港の調査会社であるカウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ社は2021年2月26日までに、「テレマティクス制御ユニット」(TCU)の市場規模が2025年には63億ドル(約6,600億円)を上回る見通しだとする調査結果を発表した。
コネクテッドカーにとって重要なシステムであるTCUの市場は、2020年から2025年にかけて年平均成長率(CAGR)14%で成長していくという。
2025年までは4G対応のTCUを搭載したコネクテッドカーが多くなるとみられているが、世界各国の自動車メーカーは、4Gでも5Gでも通信できるTCUへと切り替えを徐々に進めていくという。
■市場規模が拡大している「TCU」とは?
TCUは「Telematics Control Unit」の略で、日本語では「テレマティクス制御ユニット」などと訳される。ちなみにテレマティクス(Telematics)は、通信(Telecommunication)と情報科学(Informatics)を組み合わせた造語だ。
自動車などにTCUを搭載することで、通信機能を通じてさまざまな情報サービスが提供できるようになる。またTCUは基本的に双方向通信が可能であり、「クラウドから自動車」と「自動車からクラウド」の両方に対応できる。
現在TCUが活用される事例としては、エアバッグと連動する自動緊急通報や、車両盗難時の追跡機能、交通情報や天気予報の配信などがある。
■「E-call」搭載や自動運転化でさらに市場は拡大へ
欧州では2018年から緊急通報システム「E-call」を新車に搭載することが義務化されており、このことがTCUの出荷台数の伸びにつながっている。カザフスタンやロシア、韓国などでも同様の義務化が行われ、さらなる市場の拡大につながっている。
また、各国の自動車メーカーがTCUによるコネクテッドサービスを展開し始めていることも大きい。自動運転車においても通信技術は無くてはならないもので、自動運転車の実用化・普及とともに、TCUの市場はより膨脹していきそうだ。
【参考】関連記事としては「自動車における「テレマティクス」とは?コネクテッド化で市場拡大」も参照。