通常の営業路線バスと同じ形態で運行される大型自動運転バスの実証実験が、2021年2月からスタートする。大型自動運転バスでのこうした実証の実施は国内初で、西武バス路線の「西武池袋線飯能駅南口〜美杉台ニュータウン」間(片道約2.5キロ)で行われる。
実証実験の実施については2020年1月7日までに、西武バスと群馬大学、群馬大ベンチャーの日本モビリティ、あいおいニッセイ同和損害保険、MS&ADインターリスクの5者の共同プレスリリースという形で発表された。
西武バスと群馬大学は2020年2月に自動運転技術に関する共同研究契約を締結している経緯がある。実証実験ではあいおいニッセイ同和損害保険が保険の提供を行い、MS&ADインターリスク総研は総合的なリスクアセスメントや安全管理体制の構築で支援を行う。
実証実験の詳細なスケジュールについては確定次第、今後発表するとしている。
■自動運転レベル4の実現を目指している西武バスと群馬大学
西武バスと群馬大学が2020年2月に締結した共同研究契約では、自動運転レベル4(※国の呼称では言うところの「自動運転車」)の実現を目指し、2020年度内に自動運転車両による走行実験の実施を具体的に検討するとしていた。
今回の実証実験の詳細は明らかにされていないが、当時の共同研究契約の目的としては以下の6点が挙げられており、自動運転レベル4でのバス運行に向け、技術や実務の検証や社会受容性の醸成を進めることがねらいとみられる。
- 安全・安心なバス輸送サービスの提供に向けた課題解決。
- 乗務員不足への対応。
- レベル 4 の社会実装にむけた大型バスによる自動運転化の研究の推進。
- 自動運転バスの実用化に向けた、運行サービス・実務における各種技術の検証。
- 西武線沿線を中心としたエリアにおける社会受容性の醸成。
- 持続可能な街づくりのためのモビリティサービスの検討。
■中型バスに加え大型バスの自動運転の取り組みにも注目
ちなみに、あいおいニッセイ同和損害保険と日本モビリティも、2020年7月に自動運転による無人移動サービスの普及に向けた取り組みについて基本合意した上で業務資本提携をしており、今回は自動運転の取り組みで関係がすでに強い5者による実証実験ということになる。
日本政府は現在、中型バスの自動運転実現に向けた取り組みを主に進めているが、この5者による大型車両による取り組みも並行して注目していきたいところだ。
【参考】関連記事としては「中型自動運転バスの実証実験、まず滋賀県大津市などでスタート 運転手乗車型で安全確保」も参照。