道路標識などを手掛ける株式会社アークノハラ(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:岡本力)はこのほど、混在交通において自動運転バスの専用空間を実現する「ICTゲート」を開発したと発表した。
同社はこのICTゲートについて「車両の侵入を物理的に制御できるゲートに、インターネットを通じてゲートの開閉を制御できる機能を付加した道路側の安全対策施設」としている。
具体的には、自動運転車両運行システムと連携してゲートが自動開閉し、自動運転バスだけが停留できる専用空間を作り出すことができるという。
今後関東近郊で取り組まれる自動運転バスの公道実証実験でこのICTゲートを設置・検証し、システムの改良を進めていく方針のようだ。
■ICTゲートによって、自動運転バスが迷惑駐車に悩まされなくなる
文章だけではピンと来ないかもしれないので、以下の同社が実施した試験の写真を見てほしい。
左の写真のように、自動運転バスの場合はICTゲートが開き停留空間(黄色枠線内)に進入できるが、右の写真のように、一般車両(青色の車)の場合はゲートは開かず自動運転バスの停留空間に侵入できないようになっている。
アークノハラは2018年から自動運転車などの次世代モビリティの実証実験に参加しており、自動運転車と非自動運転車が混在する「混在交通」においては、円滑な交通と事故の回避の観点から、道路インフラにおける対策が必要だという考えに至った。
そこで開発されたのが今回のICTゲートだ。自動運転バスだけが停留できる空間を作る仕組みが実現できれば、迷惑駐車などによって自動運転バスの駐車スペースがなくなるといった問題を解決できる。
■自動運転社会を下支えするアークノハラの技術
アークノハラは「安全安心な街づくりに貢献すること」をミッションに、標識や道路安全施設などの公共インフラの開発に注力しており、自動運転に関しても「インフラ」という切り口での取り組みを進めている。
2018年3月からは、群馬大学と共同で自動運転車両の接近を周囲に知らせる「路車間協調表示装置」を開発。その後も池袋における自動運転バスの実証実験などに参加し、自動運転領域での存在感を高めている。
2020年には日本国内で自動運転レベル3(条件付自動運転車)が解禁され、国際基準も成立した。このようにレベル3車両が公道を走行するための準備が整う中、自動運転社会を下支えする同社の技術にもより注目が集まっていきそうだ。
【参考】関連記事としては「自治体×自動運転バス、定常運行「国内初」は茨城県境町!BOLDLYとマクニカが協力」も参照。