投資顧問会社のスパークス・グループ株式会社(本社:東京都港区/代表取締役社長:阿部修平)=スパークス=が設立した「未来創生2号ファンド」は2020年11月30日までに、EV(電気自動車)車両設計・製造の米Local Motors社の親会社LM Industries Groupに対して投資を行ったことを発表した。投資金額は非公表としている。
この記事では、トヨタなどが出資する未来創生2号ファンドと、3Dプリント技術に強みを持つLocal Motorsについて、それぞれ解説していく。
■未来創生2号ファンドとは?出資している企業は?
スパークスは2015年11月に「未来創生1号ファンド」を、2018年7月に「未来創生2号ファンド」を創設しており、どちらも三井住友銀行、トヨタ自動車との3社の出資でファンドを運用している。
未来創生1号ファンドでは投資対象領域が「知能化技術」、「ロボティクス」、「水素社会実現に資する技術」の3分野であったが、未来創生2号ファンドでは新たに「電動化」「新素材」を加えた5分野となっており、世界の未公開ベンチャー企業が投資対象となっている。
自動運転関連の領域においては、自動運転に必要なAI(人工知能)システムを提供するエイシング、画像認識技術のフィーチャや自動運転シャトルサービスを提供する米国May Mobilityなども未来創生ファンドの出資を受けている。
■Local Motorsに期待が集まる背景
Local Motors社は2007年に米国で設立された自動車メーカーである。3Dプリンティング技術を用いて、車両の部品ほとんどを3Dプリンタによって生産することができる数少ない企業の1つだ。また、CADファイルから直接部品を生産することで、従来の自動車メーカーの製造期間よりも生産期間を大幅に短縮することができるようになった。
自動車工場といえば複雑な工程や巨大な工場によって作られるのが一般的であったが、Local Motorsでは共同制作と少量生産を特徴とする現地生産のビジネスモデルにより、デザイナーやエンジニアのコミュニティが製品を共同制作し、それを「マイクロファクトリー」と呼べるような同社の小さな工場に持ち込んで3Dプリンタによって製造しているのだ。
同社が提供している主要な車両は、自動運転シャトルバスの「Olli(オリー)」である。車体の約80%が3Dプリンタによって生産されており、時速約40キロで走る低速モビリティだ。メリーランド州ナショナルハーバーなど全米で走行実績があるほか、サウジアラビアやイタリア・トリノなどでも展開されている。
今回の資金調達により、同社は研究開発の加速、製造オペレーション向上のための投資を行い、事業を成長させることを目指している。
■【まとめ】未来創生ファンドの出資先企業に注目
未来創生ファンドにはトヨタが出資しているとはいえ、必ずしもモビリティ関連に向けての投資が多いわけではない。一方で、AIやロボティクスなど投資対象となっている分野は、自動運転技術などで活用されることが多いのは確かだ。
未来創生ファンドが出資する企業に今後も注目だ。
【参考】関連記事としては「トヨタ系未来創生ファンド、第2号設立 目標規模は500億円 第1号ではティアフォーに出資」も参照。