物流大手の佐川急便株式会社(本社:京都府京都市/代表取締役社長:本村正秀)が、将来的な自動運転を視野に入れた小型電気自動車(EV)の開発に乗り出す。EV開発を手掛けるASFと共同で取り組み、実証実験も実施する。
2020年6月16日に佐川急便が報道発表で明らかにした。ASFとの基本合意に基づいて今後両社でプロジェクトチームを立ち上げ、EVの試作車の製作や安全機器の開発に取り組んでいくという。まずはEVの開発で温室効果ガスの削減などにつなげていきたい考えのようだ。
開発する車両は軽自動車規格のキャブバンタイプを予定しており、計画では2021年には量産車の開発設計を行う。開発を進めるにあたって、国内EVベンチャーのFOMMから技術協力を得るという。
■国内勢ではヤマト運輸が先駆けて取り組み
報道発表では「自動運転」に関する点は言葉少なだが、EC(電子商取引)需要の増加で物流業界では配送の担い手不足が課題となっており、佐川急便にとっても自動運転車を使った配送システムの構築は将来を考えると必須であると考えられる。
国内勢ではヤマト運輸の取り組みが先行している印象だ。2016年からDeNAと「ロボネコヤマト」というプロジェクトで自動運転を活用した次世代物流サービスの開発に取り組み、実際に実証実験も実施している。
【参考】関連記事としては「ラストワンマイルとヤマト運輸、向かう方向性は? 新たな物流の仕組み導入?」も参照。
■小型搬送ロボットへのアプローチにも注目
物流業界における自動運転技術の活用方法は大きくわけて、長距離の搬送に向いた「車両」と短距離の配送に向いた「小型搬送ロボット」に分類される。今回は車両に関する発表で、今後は小型搬送ロボットにどうアプローチしていくのかも注目される。
物流業界では既にAmazonが、自律走行可能な小型搬送ロボット「Scout」での荷物配送に実験的に取り組むなどしており、佐川急便が今後どうこの領域に食い込んでいくのかにも関心が高まる。
【参考】関連記事としては「ラストワンマイル向けの物流・配送ロボット10選」も参照。