車載機器の音声認識技術などを手掛ける米大手ニュアンス・コミュニケーションズ(本社:米マサチューセッツ州)は2018年9月14日、東京都内で音声認識技術などを説明するイベントを開催した。イベントの後半では、デモカーでの最新ソリューションの体験会も開いた。
説明会では日本法人オートモーティブ・ビジネスユニットの村上久幸氏(プリンシパル・マーケティングマネージャー)と石川泰氏(シニア・プリンシパル・テクニカル・エクスパート)が同社の会社概要や音声インターフェースの基礎について説明した。
同社はオートモーティブ部門では、音声認識・合成、自然言語理解、音声信号処理などのほか、AI(人工知能)を応用したオートモーティブ・アシスタントや会話型・認知型AIソリューションなどの事業を展開している。自動車領域での事業は20年以上に及び、説明によれば、ニュアンス製品を搭載した自動車の累積出荷台数は2億台に上るという。
また自動車関連では日本のトヨタ自動車のほか、アメリカ勢のGMやフォードなど、ドイツ勢のアウディやBMWなどと取引を行っていることも紹介。同社は最近では、米ダイムラーと共同開発した会話AI「MBUX」がメルセデス・ベンツの新型Aクラスに搭載されていることでも注目を集めている。
音声インタフェースについては、その特徴として①最も基本的な情報伝達の方法②誰にでも③どんな状況でも④特に車載機、運転中のIFとしては最も有効—の4点を挙げ、車載システムのアプリケーションとして、エアコンの制御やナビの目的地設定のための住所や施設名の入力などにも活用できることも紹介した。
■フロントガラス越しに見えた店について「あの店は何?」と発すると?
デモでは、メルセデス・ベンツの高級バン「Vクラス」を使用した特別仕様車で、自動車の運転手の視線を検知し、システムが音声応答するなどの機能を含んだ「Dragon Drive Innovation Showcase」の体験会が行われた。
この機能を使うと、例えばドライバーがフロントガラス越しに道路脇のレストランを見ながら「あの店は何?」と声を発すると、システム側がそれに対応する回答を音声で発してくれる。
■自動運転やコネクテッドカーで期待高まるニュアンスの技術
ニュアンス・コミュニケーションズの音声認識技術は、自動運転車やコネクテッドカーへの搭載でもその技術力が活かされることが期待されている。同社は運転手の感情を読み取り、安全運転を支援する技術も開発しており、今後も開発の進捗にも注目が集まる。
【参考】音声認識関連のニュースとしては「自動運転のAIは救急車のピーポー音をどう認識するか LiDARやカメラは「音」は守備範囲外|自動運転ラボ」も参照。