自動運転に関する技術開発を日本を含む世界のメーカーやベンチャー企業が進め、各国で公道走行に関する法令やインフル整備の気運が高まる中、損害保険業界がいずれ来たる自動運転社会の到来に備えて準備を急いでいる。
例えば、損害保険ジャパン日本興亜株式会社(本社:東京都新宿区/社長:西澤敬二)は2018年9月、自動運転時代に損害保険会社がどのような役割を果たすべきなのかということを研究するために、遠隔で自動運転車をサポートする拠点を開設した。自動運転車を遠隔監視し、必要とあれば遠隔地から直接その自動運転車の操舵をするほか、駆け付けサービスなども提供し、検証を経て保険商品の開発を進めるものとみられる。
東京海上日動火災保険株式会社(本社:東京都千代田区/取締役社長:北沢利文)も自動運転向けの保険開発を加速させている。特に重要視しているのが、自動運転車やコネクテッドカーが被害に遭う可能性があるサイバー攻撃に関するリスクだ。同社は車載セキュリティソフトウェアの開発・販売を手掛ける合同会社WHITE MOTIONとサイバー攻撃の手法などについて研究をスタートしている。
あいおいニッセイ同和損保株式会社(本社:東京都渋谷区/代表取締役社長:金杉恭三)も保険商品に関する研究を進めている。同社は群馬大学と2016年12月に産学連携協定を締結しており、自動運転の社会実装や課題などについての知見を深めており、自動運転車両を使った実証実験なども実施している。
自動運転車においては、事故が発生したときに責任を車が取るのか、人が取るのか、という議論もある。まだまだ自動運転時代の保険のあり方については固まったイメージというのが確立されていない中、しばらくは実証実験などを通じた研究が続いていきそうだ。
しかし日本政府は2020年代には自動運転車の公道走行実現に向け、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)などを通じての取り組みを強化しており、保険商品の販売開始は待ったなしの状況とも言える。
【参考】戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)における自動運転の取り組みについては「内閣府SIP第2期「自動運転」を完全解説 目標や研究開発内容、実証実験の実施計画は?産官学の連携・協業も強化|自動運転ラボ」も参照。
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