自動運転マップ、年内に世界100万kmカバー オランダ地図大手HERE社

パイオニア子会社など日中韓企業と提携



オランダの位置情報サービス大手HERE Technologies(ヒア・テクノロジーズ)と日中韓の4社は2018年5月22日、グローバルに整合のとれた自動運転車など向けのデジタル道路地図を2020年から提供するため、「OneMap Alliance」を結成したことを発表した。


提携したのはHERE社のほか、パイオニアの子会社であるインクリメントP社、中国のデジタル地図サービス大手NavInfo社、韓国の通信事業大手SK Telecom社の計4社。HERE社が提供する自動運転向けの高精度地図「HD Live Map」の規格と仕様に適合した地図を用いることで、各地域の自動車メーカーらが地域の制約を受けることなく、各市場で同一の地図情報を自動運転などで利用できるようにする。

HERE社は北米や欧州を中心に韓国、シンガポール、アラブ首長国連邦などを既にエリアにしており、2018年末までに100万キロメートル以上の道路をカバーする計画。今回の提携でHERE社は日本や中国にもエリアを拡大する狙いだ。

「HD Live Map」は、クラウドから配信する地図情報と各車両が得た情報を組み合わせて共有する地図サービス。地図の有用性や信頼性を確保し続けるため、何百万台もの自動車に搭載されたカメラやセンサーによる計測を利用して道路と周辺環境の地図データのメンテナンスをおこない、現実世界の変化に応じたデータの補正や修正を自動的におこなっている。

トラックや建物などによって視界が遮られる場合も、前方の道路形状や交通規制などを結び付けた道路の情報を途切れなく車両に供給するよう設計されていることに加え、HEREの付加データサービスによっても補完されており、交通渋滞や事故発生地点、最適経路などの情報が車両に提供されるという。


さらなる戦略的パートナーも募集

HERE社は今回の提携により、日本・中国それぞれの国で高精度地図のリーディングプロバイダーとして事業を展開しているインクリメントP社、NavInfo社と手を結ぶことで、日本・中国のエリア化を強力に推し進めたい考え。また、さらなる戦略的パートナーの参加も募るという。

日本国内では、トヨタホンダなどの主要自動車メーカーやゼンリン、インクリメントP社などが出資するダイナミックマップ基盤株式会社(DMP)がオールジャパン体制で3次元高精度地図データの整備を進めている。インクリメントP社は「DMPによって整備される日本国内の高精度地図データは、HERE HD Live Mapを通じて欧米の自動車メーカーに提供されることになる」としている。

【参考】ダイナミックマップとは、従来の建物や道路などの情報をより正確にデータ化した3次元高精度地図に、交通規制予定情報や道路工事情報、時間とともに変化する周辺車両や歩行者情報、信号情報など動的情報を重ね合わせたもの。各車両が得た情報をフィードバックし、共有することで自動運転の精度も飛躍的に向上する。DMPの取り組みについては「高速道の全データは3D地図化する メーカー共同出資DMP社、自動運転実現への重責|自動運転ラボ 」も参照。

関連記事