ヤマハ発動機、燃料電池搭載の電動小型低速車で公道実証 MaaSサービスでの活躍期待

電気自動車より長く走り、充電が短いのが特徴



ヤマハ発動機株式会社(本社:静岡県磐田市/代表取締役社長:日髙祥博)は、燃料電池を搭載したプロトタイプ車両「YG-M FC」の実証実験を、石川県輪島市の公道上で2019年4月18日から行うことを発表した。

今回の実証実験は、燃料電池車と水素ステーションの普及を推進する政府の計画に沿う形で実行される。燃料電池は電動化が進む自動運転車両の駆動方式としても開発が進んでいる。トヨタ自動車が2020年の東京五輪に合わせて、燃料電池で走る自動運転バスのデモを予定するなど注目度の高い技術の一つだ。


ヤマハは今回の取り組みで「切れ目のない車両共同利用サービス」の実現を目標として掲げており、「YG-M FC」をラストワンマイルを補完するMaaSサービスに活用する考えのようだ。

燃料電池を搭載する「YG-M FC」の燃料は圧縮水素を使用し、同サイズの電動小型車両に対して航続距離が長く、燃料充填時間が短いのが特徴だ。充電回数の低減によって効率の良い運用が可能で、保有台数を減らすことにもつながる。電気自動車の課題である充電時間の長さを解決できれば、MaaS車両として大きな注目を集めそうだ。

出典:ヤマハ発動機プレスリリース
■実証実験、3キロの市街地コースで

実験は輪島市が運用する新交通システム「WA-MO(ワーモ)」の運行ルートを含んだ約3キロの市街地コースで行われる。

WA-MOはヤマハが開発する電動カートで軽自動車のナンバーを取得し、輪島市内の定期運行サービスとして運用する取り組みだ。市内の交通課題を解決し、地域住民と観光客の足となることで地域の活性化を目指している。


「YG-M FC」の実証実験は2019年4月18日から4月24日に行われ、実際の運用条件下での航続距離や運用時間などを検証する予定だ。地域での利用価値の検討や、運用団体側の受容性なども検証し、実用化への課題などを洗い出す考えだ。

「YG-M FC」は2019年5月22日から開催される「人とくるまのテクノロジー展2019横浜」に出品が予定されており、注目を集めることになりそうだ。

【参考】関連記事としては「ヤマハ発動機の自動運転戦略とは? コンセプトや方針は?」も参照。


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