いまMaaSが最も熱い都市は「横浜」!?トヨタも独自アプリ展開、市のプロジェクトも

郊外型MaaSやAI運行バスなど盛んに実証実験



2019年に国土交通省の「新モビリティサービス推進事業」がスタートし、日本各地でMaaS構築に向けた取り組みが急増している。そんな中、かつては世界と日本をつなぐ港町として発展した横浜がいま、MaaSの取り組みが盛んな都市の1つとして注目を集めている。


この記事では、これまで横浜で実施されてきたMaaS関連の取り組みをトピックスごとに紹介する。

■東急電鉄と日本初の「郊外型MaaS実証実験」

横浜市と東急電鉄は2012年4月に「次世代郊外まちづくり」の共同推進に合意し、包括協定を結んだ。2017年4月には協定を更新している。

2019年1月下旬〜3月下旬には「次世代郊外まちづくり」の一環として、日本初の「郊外型MaaS実証実験」が、東京都市大学や株式会社未来シェアとの共同で、公募した地域住民約200人を対象に実施された。

たまプラーザ駅から渋谷駅へ向けた、Wi-Fiやトイレを完備した24人乗りのハイグレード通勤バスや手軽な地域移動に便利なオンデマンドバスやパーソナルモビリティ、マンション受民同士のカーシェアリングの4つの実証実験を、たまプラーザ駅北側地区を中心に実施した。



■MONET Technologiesのオンデマンドバス

ソフトバンクとトヨタの共同出資会社であるMONET Technologiesは、2019年3月にオンデマンドバスの実証実験を横浜市で実施した。

スマートフォンアプリで予約してエリア内を巡回できるオンデマンドバスを体験してもらうため、横浜市旭区若葉台に住む約30人にモニター参加してもらったという。大規模な団地のある横浜市旭区若葉台は起伏の多いエリアで、巡回バスが運行している一方、高齢者や子育て世代の増加から新たな交通手段へのニーズが高まっていた。

乗降場所は巡回バスのバス停のほかに、参加者が事前に設定した自宅や病院、スーパーなどの任意の場所が指定でき、行きたい場所に行きやすいサービス設計となっている。

【参考】関連記事としては「MONET Technologies、横浜でオンデマンドバスの実証実験」も参照。

■AI運行バスで回遊性を向上させ地域経済の活性化へ

横浜市はNTTドコモとNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)と共同で、2019年10月に横浜MaaS「AI運行バス」の実証実験を、2018年度に続く2度目として実施した。

2019年度は、アプリでみなと未来21や関内エリアの観光・グルメスポットやイベント情報を検索し、その結果から直接AI運行バスを予約して回遊できる実証を実施した。対象エリアに33カ所の乗降ポイントを設置してその結果を検証したところ、観光客だけでなく地域住民や通勤ニーズでの利用も多かったという。

■ヨコハマをスマートに楽しむmy route横浜版

トヨタが展開するスマートフォン向けマルチモーダルモビリティサービス「my route(マイルート)」が、横浜都心臨海部において2020年7月からスタートした。「あらゆる移動手段を含めたルート検索」や「予約・決済」といった基本機能に加え、横浜ならではの交通サービスや観光情報との連携も進め、コンテンツ作りも充実させていくという。

レンタカーやカーシェアリングで日産自動車とも連携するという点から、ユーザーの利便性を第一に考えている印象を受ける。サービスは神奈川県オールトヨタ販売店により共同設立された株式会社アットヨコハマが運営する。my routeはすでに福岡市や北九州市、水俣市で導入されており、横浜市は4つ目の実施エリアとなる。

■【まとめ】横浜のMaaSが中核都市のひな形に?

これだけさまざまなMaaS関連の取り組みが行われている都市は、日本国内では今のところは決して多くはない。横浜で都市型MaaSや郊外型MaaSが成功すれば「ひな形」として多くの中核都市で参考にされるようになるかもしれない。

【参考】関連記事としては「MaaS(マース)の基礎知識と完成像を徹底解説&まとめ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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