東京大学発AIベンチャーのTRUST SMITH株式会社(本社:東京都文京区/代表取締役社長:渡辺琢真)は2020年6月22日までに、完全自動化の「スマートファクトリー」実現への一歩として、工場での運用を想定した自動運転トラックの開発をスタートしたと発表した。
自動運転トラックの開発では、名古屋大学発のスタートアップ企業であるティアフォーの自動運転OS「Autoware」を活用する予定のようだ。
レーザレーダやカメラ、GNSS(測位衛星システム)なども利用し、自車位置や周囲の物体を認識しながら、倉庫内での安全な自動運転ができるようにするという。
■2019年1月に創業したTRUST SMITHとは?
TRUST SMITH社は、東大の学生らが設立したAIスタートアップ企業だ。2019年1月に創業して以降、「製造」「エネルギー」「食品」など様々な業種の企業とAIプロジェクトを進めてきた。また、自動運転の実装や4足歩行ロボットの自社開発などの研究開発も行っている。
2019年には、ドローンを使って太陽光パネルの亀裂を検知するAIシステムを世界で初めて開発したことを発表した。発電施設の人手不足や膨大な点検費用といった課題の解決につながると期待されている。
また、これまでの研究や開発の実績が評価され、AIコンピューティングカンパニーである米NVIDIAのAIスタートアップ支援プログラム「NVIDIA Inception Program」のパートナー企業に認定されていることでも知られる。
【参考】関連記事としては「東大AIベンチャー、ドローン自動航行につながるアルゴリズム開発」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) December 3, 2019
■スマートファクトリー化の意義
スマートファクトリーとは、工場の機器や設備、人による作業などのデータを、IoTなどを使って取得・収集し、これらのデータを分析・活用することで新たな付加価値を生み出す工場のことだ。
日本では、人手不足の問題を解決するために、製造業でのスマートファクトリー化への取り組みが加速している。ロボットの導入による自動化・省人化や、集めたデータを活用し生産工程の合理化を図るために、スマートファクトリー化が本格的に進んでいるという。
■製造業や運送業の企業とともに実証実験
TRUST SMITHは、これまでに様々な工場向けソリューションを自社開発している。
これまで手作業で行っていたピックアップ作業を自動化できる「障害物回避型ロボットアーム」は、空間内に存在する障害物を回避して目的物へアプローチすることができるという。
そのほか、作業者が荷物を積載するとロボットが自動で運搬し、作業者の移動量を大幅に低減できる自律走行の「物流ロボット」、機械の故障などの異常を発見して生産効率の向上やメンテナンスを実現できる「自動異常検知AI」などがある。
これまでに開発してきたこれらのソリューションに加えて、今回開発をスタートさせた自動搬送トラックを組み合わせることで、完全自動化のスマートファクトリーの実現を推進していくという。今後は製造業や運送業の企業とともに実証実験を進めていく方針だ。
【参考】関連記事としては「自動運転トラックの開発企業やメリットまとめ」も参照。