トヨタの「七人の侍」、自動運転やビッグデータを語る

いまの車の安全性能を高める重要性も確認



「自動運転ってね、自動運転が出れば交通死事故がゼロみたいになると言われますけれども、でも実際のところ、日本には6000万から7000万の(自動車の)保有があって、それが全部自動運転になるのは、少なくとも我々が生きている間はないです。そんな中、いまできることと言うのは何なのでしょうか」

2019年11月4日までの日程で開催された東京モーターショー。トヨタ自動車は同イベントの会場で豊田章男社長と副社長らによる「トヨタ経営会議」を公の場所で開き、その中で章男社長が冒頭の質問を参加した副社長に投げかけた。


それに対して吉田守孝副社長は次のように答えた。「皆さんがいま既に乗っている車の安全性能をいかに上げるか、それが非常に重要だと思います。そしてこれは一つの自動車メーカーではできないことだと思います」

下記のYouTube動画でこうした掛け合いを観ることができる。該当箇所は12:15〜13:17。こうした掛け合いから、トヨタがいま力を入れている自動運転の開発だけではなく、現行の自動車に対する技術開発(つまりはADAS)も両輪で進めていこうという方針を示していることが改めて分かる。

■「通れた道マップ」に冠水情報も実装へ

また22:06ごろからビッグデータの活用についても触れられており、日本の100万台のコネクテッドカーから寄せられる通行実績を基に、トヨタが「通れた道マップ」を公開していることにも触れた。


また今後はタクシーのカメラ画像から道路の冠水レベルを分析し、その分析レベルをこの「通れた道マップ」に搭載する予定であることも、友山茂樹副社長によって紹介された。

既にこの取り組みなどに向けて500台のタクシーにカメラを搭載しており、今後は予算をかけて搭載台数をさらに増やしていきたいという。

ただ友山副社長は「ただちょっと予算が…」と苦笑い。しかしその後、予算確保の鍵を握る小林耕士副社長が「こういういい事にはどんどん金使って下さい」と語り、友山副社長が「ありがとうございました」と御礼を述べる一幕もあり、会場を盛り上げた。

■「七人の侍」の方針がよく分かる動画、必見

トヨタの社長と副社長は合わせて7人。黒澤明監督の映画にちなんで、この7人は「七人の侍」と呼ばれることもある。この日はDidier Leroy副社長は出席しなかったものの、七人の侍がトヨタの未来をどう考えているのかがよく分かる動画となっているので、興味がある人はこの動画をぜひ観てみてはいかがだろうか。



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