グッドデザイン賞の本発表、自動運転バスやMaaSサービスも!

モビリティ領域の受賞取り組みまとめ



公益財団法人「日本デザイン振興会」による「グッドデザイン賞」の大賞・金賞などの発表が、2019年11月5日までに行われた。自動運転やMaaSなどのモビリティ関連では計3件の受賞があったので紹介したい。


■グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)

「グッドデザイン金賞」(経済産業大臣賞)では、良品計画の自動運転バス「GACHA」とフィンランド企業MaaS GlobalのMaaSプラットフォーム「Whim」などの受賞があった。

無印良品:自動運転バス「GACHA」
出典:グッドデザイン賞プレス向け画像

無印良品を展開することで知られる良品計画は、フィンランド発のGACHAプロジェクトにデザインパートナーとして参加している。このGACHAはデジタルマップとセンシング技術を駆使してさまざまな天候下での自動運転を実現することが目指されており、2020年の実用化が目標とされている。

審査委員は良品計画がデザインパートナーとして参加している点について、「無人運転シャトルは、ともすれば人間や荷物を輸送する無機質な機械になりがちであるが、GACHAは明確に違う」と述べた上で、「風合いの良さ、居心地の良さといった要素をモビリティデザインに取り入れており、地域の人たちが交流しながら移動するモバイルコミュニティスペースとしての役割をも提案していることに感心した」としている。

MaaS Global:MaaSプラットフォーム「Whim」
出典:グッドデザイン賞プレス向け画像

MaaS Global社が展開するMaaSプラットフォーム「Whim」は、さまざまな交通機関を統合させたサービスの元祖として、同社が本拠地を有するフィンランドを始め、さまざまな国で導入が進んでいる。年内に日本に上陸するという報道もある。


審査委員はこのWhimについて「まさにオールインワン、シームレスであり、実際に使ってみれば、移動にまつわる煩わしさをことごとく排除した、夢のようなツールだと思うだろう」とした上で、「若きエンジニアの発想を国が10年掛けて具現化し、モビリティのトレンドのひとつにまでなったMaaSという概念を生み育てたストーリーも評価したい」と述べている。

【参考】関連記事としては「MaaSアプリ「Whim」とは? 仕組みやサービス内容を紹介」も参照。

■グッドフォーカス賞(新ビジネスデザイン)

「グッドフォーカス賞」(新ビジネスデザイン)では、トヨタグループのアイシン精機とスギ薬局などが手掛けるデマンド型交通「チョイソコ」などが受賞した。

アイシン精機・スギ薬局:デマンド型交通「チョイソコ」
出典:グッドデザイン賞プレス向け画像

アイシン精機とスギ薬局などが提供するデマンド型交通「チョイソコ」は、高齢者や交通が不便な人などを対象とした移動サービスだ。電話で申込みをすると、最寄りの乗降場から希望の乗降場まで乗り合い送迎を提供するサービスで、愛知県豊明市で住民を対象に有償実証を展開している。


審査委員は「地域デマンド交通システムの新しい姿を提案している」と評価した上で、「高齢者にも覚えやすいネーミングや、ICTに頼り過ぎないシステムも、現場の声を活かしていると思われる。疲弊する非都市部での公共交通システムに新風を吹き込むアプローチである」としている。

■【まとめ】モビリティ業界の革新進む

モビリティ業界では「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展により、さまざまな技術革新が起き、新サービスも誕生しつつある。今後のグッドデザイン賞でもCASE関連の取り組みが目立つようになってくるかもしれない。

ちなみに今回のグッドデザイン賞では、カーローンに関するGlobal Mobility Service社のビジネスモデルも受賞している。カーローンのリスクを最小化することで貧困層でも車両を所有できるようにするもので、この取り組みにも注目しておきたいところだ。


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