Nikonが20年後、もう1つの顔をもつ?「自動運転の目」LiDARの受託生産に秘める可能性

米LiDARベンチャーとの近い距離感



日本のニコンと言えばカメラ大手だ。キヤノンなどと長年にわたってシェア争いを繰り広げているが、最近は新たなフィールドに参入し、にわかに注目を集めている。そのフィールドとは、「自動運転」だ。







とはいえ、自動運転技術をニコンが開発しているわけではない。ニコンは自動運転を支えるコアセンサーであるLiDARを切り口に、自動運転の分野にアプローチしている。

■VelodyneのLiDARを受託生産

こうしたニコンの動きが明らかになったのが、2019年のことだ。LiDARベンチャーの草分けである米Velodyne Lidarと、LiDARの受託生産契約を締結したことを発表した。この契約によって、ニコンがVelodyne LidarのLiDAR製造の一部を請け負うこととなった。

LiDARは光技術によって対象物の検知や対象物との距離を計測できるセンサーだ。ニコンはカメラ製造で培った世界トップレベルの光学技術を有しているため、LiDAR製造の担い手になれるというわけだ。

ちなみにニコンはVelodyne Lidarと受託生産契約を結ぶ前、2018年12月にVelodyne Lidarに2,500万ドル(約28億円)の出資を行っている。

■Aeva Technologiesとの基本合意

そして2021年8月、ニコンに新たな動きがあった。米Aeva Technologiesと周波数連続変調(FMCW)技術に関する協業を行うことに基本合意したと発表した。

FMCW技術とは、対象物の距離や速度、角度を検出する方式の1つで、AevaはFMCW技術を活用してLiDARを開発している企業だ。(ちなみにAevaは2021年3月、SPACのInterPrivate Acquisition Corp.と合併し、ニューヨーク証券取引所にSPAC上場を果たしている)

今回はAevaのLiDARの生産をニコンが受託するということではなく、AevaのFMCW技術をニコンが産業機器事業の計測分野に活用するというものだが、ニコンとLiDARの距離感がまた縮まったと考えるのが自然ではないだろうか。

もしかするとVelodyne LidarのLiDARの受託製造に続き、AevaのLiDARの製造もいずれ請け負うことになるかもしれない——。こう考えるのは飛躍し過ぎだろうか。しかし、可能性はゼロではない。

■ニコンがフォックスコンのように

台湾のフォックスコンが電子機器受託生産(EMS)企業としてAppleなど世界の大手企業からスマートフォンなどの製造を請け負っているように、もしニコンが世界中のLiDAR企業から生産を受託するようになれば、もしかするとLiDAR生産はニコンにとってカメラ部門に並ぶ稼ぎ頭になるかもしれない。

あくまで一つの可能性だが、20〜30年後、そうなっているかも。

【参考】関連記事としては「ニコン、米ベロダインの自動運転向けLiDARを受託生産」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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