空モビリティの社会実装に新規で38億円!経産省の概算要求、自動運転関連は?

CASE対応に向けた実証・支援では75億円



2022年度に向けた経済産業省の概算要求が公表された。カーボンニュートラル実現に向けた各種エネルギー施策が並ぶ中、自動運転をはじめとしたモビリティ事業もしっかりと盛り込まれている。







この記事では、モビリティ関連の予算要求の概要について紹介していく。

■無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業

製造産業局自動車課が、前年度から18.2億円増となる75.4億円を要望した。コネクテッドや自動運転などCASE(C=コネクテッド、A=自動運転、S=シェアリング・サービス、E=電動化)技術の社会実装により運輸分野におけるカーボンニュートラルへの貢献が期待され、社会実装に向け技術開発はもちろん標準化・ルール形成、事業モデル・産業エコシステムの構築などに一体的に取り組んでいく。

事業イメージとしては、以下の3つを提示している。

  • ①自動運転の社会実装に向けた実証事業・研究開発
  • ②CASEやカーボンニュートラルなどの変化に対応した健全な製品エコシステム構築・ルール形成促進事業
  • ③MaaSの社会実装加速に向けた実証事業

①では、自動運転レベル4の早期社会実装に向け、1人の監視者による3台以上の車両運行管理の検証など先進的な無人自動運転サービス実証を進めるとともに、体系化された交通流シナリオ・シミュレーションなどを活用し、自動運転車両の安全性評価手法を開発し、自動運転の技術標準などに関する国際的議論を主導していく。

また、半導体の設計開発分野などにおける国際競争力強化に向け、短期間での半導体設計・柔軟な改良を可能とする半導体機能シミュレーションモデルの構築などにも取り組んでいくとしている。

②では、蓄電池などの持続可能な製品エコシステムの構築や、サプライチェーン管理・認証・評価等のシステム構築、その運用に係るルール・制度などの形成に向け、国内外における検証・実証などを行っていく方針としている。

③では、CASEによる技術革新を早期かつ広範に実装し、物流・人流を含むモビリティバリューチェーンの変革に資するような高度なMaaS実証などを地域単位・分野単位で実施する。

成果目標としては、2021~2025年度の5年間事業として40以上の地域で無人自動運転サービスを実装するとともに、将来的に「グリーン成長戦略」などに掲げるグリーン化と移動の活性化の同時実現を目指す。

出典:経済産業省(クリックorタップすると拡大できます)
■次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト

製造産業局産業機械課次世代空モビリティ政策室が、新規事業として38億円を要望した。空飛ぶクルマをはじめとした次世代空モビリティの安全性確保と、運航の自動・自律化による効率的な運航の両立を目指す。

事業イメージとしては、以下の3つを掲げている。

  • ①性能評価基準の開発
  • ②運航管理技術の開発
  • ③国際標準化

①では、ドローン・空飛ぶクルマが第三者上空を飛行するための安全基準として、機体性能を適切に評価し安全性を証明する手法の開発に取り組む。また、1人の運航者が複数のドローンを飛行させるための技術開発を行うとともに、同時運航に必要な運航体制の検証や、それらの安全性を評価する手法の開発を実施する。

②では、航空機やドローン、空飛ぶクルマが同じ空域を飛行する際の空域共有の方法に関する全体アーキテクチャ設計をはじめ、技術開発や実証などを行う。また、空飛ぶクルマの高密度運航や、自動・自律飛行に必要となる航法や通信、動態把握などに関する技術開発・検証も進めていく。

③では、研究開発成果の海外発信を進め、国際標準化への提案を実施し、日本主導によるルール形成を行っていく。

成果目標としては、2022~2026年度までの事業期間でドローンのさらなる利活用拡大や大阪関西万博での空飛ぶクルマの活用と事業化を目指す。

出典:経済産業省(クリックorタップすると拡大できます)
■次世代人工知能・ロボットの中核となるインテグレート技術開発

産業技術環境局産業技術プロジェクト推進室、製造産業局自動車課、同産業機械課が前年度から1.1億円増となる計17.6億円を要望した。日本の強みであるロボット技術などとAI技術を活用・融合させ、顕在化するさまざまな社会課題解決に向け、特にものづくり現場などの実世界におけるAI技術の早期社会実装に取り組む。

事業イメージとしては、以下の3つを掲げている。

  • ①AI技術の社会実装に向けたアジャイル型研究開発・実証
  • ②導入加速化基盤技術開発
  • ③ものづくり現場のAI

①では、「生産性」や「空間の移動」といった重点分野において、実フィールドにおけるAI技術の実証を通じて有効性を検証し、複数の応用分野におけるAI導入を推進する。

②では、AI技術を適用させる業務分析やデータ整備、AIモジュール開発における学習などを加速させる基盤技術を開発し、 AI技術を現場に導入するまでの期間短縮を図っていく。

③では、ものづくり現場において人の判断を支援するAI技術により、設計や加工といった工程における生産性向上を目指すとしている。

出典:経済産業省(クリックorタップすると拡大できます)
■【まとめ】社会実装に向けた取り組みが徐々に具体化

自動運転関連では、社会実装を推し進めていくとともに国際競争の観点からも課題に挙げられる半導体や蓄電池といった要素技術にも触れている点がポイントだ。一方、エアモビリティ関連も、同時運航体制の検証など実現に向けた具体的な研究開発が進められていく予定となっている。

実用化が始まった自動運転技術、そしてまもなく実用化されるエアモビリティ開発のますますの進展に期待したい。

▼経済産業省「令和4年度経済産業省概算要求のPR資料一覧:エネルギー対策特別会計」
https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2022/pr/energy.html

※自動運転ラボの資料解説記事は「タグ:資料解説|自動運転ラボ」でまとめて発信しています。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。同業上場企業とのJV設立や複数のM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立。設立3年で、グループ4社へと拡大し、デジタル系事業開発に従事している。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域最大級メディア「自動運転ラボ」立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術・会社の最新情報が最も集まる存在に。
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