中国の市場調査会社ResearchInChinaが発行したレポート「世界および中国のフライングカー業界(2020年~2026年)」によると、空飛ぶクルマの開発企業の資金調達ランキングで首位となったのは米Joby Aviationで、資金調達額は8億2,000万ドル(約897億円)に上るという。
2位は独Volocopterで3億8,100万ドル(約417億円)、 3位は独Liliumで3億7,500万ドル(約410億円)という結果となった。 次いで中国のEHangが9,200万ドル(約100億円) が4位、日本のSkyDriveが5,380万ドル(約59億円)で5位にランクインした。
空飛ぶクルマの開発企業では、EHangがすでに米ナスダック市場に上場し、Joby Aviationも2021年中のSPAC上場を計画するなど、業界が盛り上がりを見せている。
また、米モルガン・スタンレー社は空飛ぶクルマの市場規模が2030年には3,200億ドル(約35兆円)まで拡大すると予測している。こうした市場の有望性を背景に、空飛ぶクルマの開発会社への投資・出資はさらに盛んになっていきそうだ。
■「短距離移動型」「長距離移動型」に分類
このランキング5位以内の企業が開発する空飛ぶクルマは、大きく「短距離移動型」か「長距離移動型」の2種類に分けられる。
Joby Aviationは長距離移動型のeVTOL(電動垂直離着陸機)を開発するスタートアップ企業だ。航続距離最大300キロメートル超、最高時速320キロメートル超を誇る。安全性にも優れており、仮にプロペラが1つ壊れたとしても問題なく運行できるという。
LiliumもJobyと似た性能を持っており、長距離移動を想定している。時速300キロメートルで5人以下の乗員を60分以内の範囲で送り届けるというコンセプトで設計されており、2025年の商用化を目標にしている。
Volocopterは近距離の移動を想定しており、2人が搭乗可能で航続距離は35キロメートル、時速110キロで運航する。2023年までにシンガポールで空飛ぶクルマのサービス提供を開始する予定だ。
SkyDriveは短距離eVTOLを開発する日本企業だ。性能はVolocopterやEHangと似ており、こちらも近距離の移動を想定している。世界最小レベルのコンパクトな機体と騒音問題を解決する静寂性に優れており、2023年にサービス開始を目標にしている。
【参考】関連記事としては「eVTOLとは?「空飛ぶクルマ」の類型の一つ、開発盛んに」も参照。
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— 自動運転ラボ (@jidountenlab) March 9, 2020
■空飛ぶクルマの分野で「制空権」を握る企業・国は?
ResearchInChinaのレポートによれば、空飛ぶクルマの開発に最も熱心なのは米国企業で、全体の半分近くを占めているという。次が中国の企業で、ドイツ、イギリス、フランス、日本がそれを追う形だ。
各社による開発が進む中、各国政府によるインフラ整備や法整備の「競争」も始まっている。この競争でもアメリカと中国が一歩先んじている印象だが、日本もここ数年議論に一気に熱が入ってきた。大阪万博で空飛ぶクルマを飛ばす計画も出ている。
今後どの企業、そしてどの国が空飛ぶクルマの分野で「制空権」を握っていくのか、注目していきたい。
【参考】関連記事としては「「空飛ぶクルマ」とは?2020年代に実現濃厚…基礎知識を徹底解説」も参照。