コネクテッドカーで記録された走行データを活用すると、交通事故の正確な状況を客観的に把握することが可能になる。こうした仕組みを活用した事故対応サービスが、トヨタとレクサスのコネクテッドカー向けに2020年3月から提供されるようだ。
トヨタ自動車とあいおいニッセイ同和損害保険が2019年12月23日の報道発表で明らかにしている。このサービスは事故後の対応のための「運行軌跡のマッピング・運転挙動の可視化」と、事故の発生を検知する「AIを活用した事故検知」の2つで構成されており、対象車種を順次拡大していくという。
この2つのサービスの詳細について説明していこう。
■「運行軌跡のマッピング・運転挙動の可視化」とは?
まず「運行軌跡のマッピング・運転挙動の可視化」だが、これは事故に至るまでの車両の走行軌跡のほか、アクセル・ブレーキの使用状況やステアリングの操作状況、指示器の作動状況などを「可視化」することで、事故の状況を正確に把握するためのものだ。
従来、事故後は事故を起こした運転手が口答で状況を説明しているが、正確に当時の状況を伝えることは場合によっては困難を伴う。しかしコネクテッドカーに記録されたデータがあれば正確さが担保される上に運転手が説明する手間も省ける。保険を使った事故処理も早期に終わることが予想される。
■「AIを活用した事故検知」とは?
もう一つのサービスは「AIを活用した事故検知」だ。これは自動車が大きな衝撃を受けた場合などにAI(人工知能)が「事故が遭った」と検知するもので、この検知を受けてサポートデスク側から安否確認の連絡が運転手にいくという。実際にそれが事故だった場合、迅速な対応が可能となる。
こうしたアルゴリズムはあいおいニッセイ同和損保が構築したもので、テレマティクス端末搭載車両の事故データと衝突実験により取得した衝撃データを機械学習することで、実現したという。
■【まとめ】今後は標準化へ?
交通事故が起きると事故時の状況がどのようなものだったかが非常に重要となる。過失の有無や量刑、そして保険による補償などに関わってくるからだ。ドライブレコーダーのように映像による記録も有効だが、より細かな運転操作に関するデータが残されていれば、原因究明もしやすくなる。
こうした視点で考えると、今回のトヨタとあいおいニッセイ同和損害保険による仕組みは、今後標準化されていくことが考えられる。
【参考】関連記事としては「自動車における「テレマティクス」とは?コネクテッド化で市場拡大」も参照。