自動運転社会を実現するためには、道路インフラのアップデートも重要な要素の1つだ。車両の自動運転技術の開発が進む中、道路インフラはどのように変わっていく必要があるだろうか。
こうした点を考える上で参考になるが、日本自動車工業会(JAMA)の資料「自動運転の実用化と普及に向けて~道路インフラとの連携~」だ。資料では、自動運転車のセンサーが適切に作動するための道路のあり方に触れられている。
■不連続な分岐線ラインがハードルに
資料においては、自動運転車のセンサーが適切に白線の存在を認識するためには、白線の消えかかりや消し残りなどがハードルになると指摘している。こうしたことが原因で、車線認識の精度が悪化するという。
また分岐線ラインが不連続の場合でも、本線と分岐路の検出精度の悪化につながるほか、白線が草木や土砂などで隠れてしまっているケースでも、正しく道路の境界や車線を認識できない恐れが出てくるようだ。
資料ではこうした点を考慮し、「人の認識性とセンサー検出性を両立する白線等の標準化やメンテ・ガイドライン化が望まれる」としている。
■カラー塗装によるコントラスト差の減少も課題
また車線に加えて、速度抑制や注意喚起のために以下のような線が引かれていることがあるが、こうした線などは車線位置検出のばらつきの要因となるという。
さらに課題となる点として挙げられているのが、道路のカラー塗装だ。日本国内では急カーブの道路で以下のようなカラー塗装が路面に施されていることがある。
こうしたカラー塗装は人に対しては有効だが、自動運転車のセンサーにとってはコントラスト差の減少により、車線の検出精度の悪化につながるという。
資料ではこうした点を指摘し、「人への注意喚起とセンサーによる認識性向上の両立のため、新たな規格や標準化が望まれる」としている。
■【まとめ】白線やカラー塗装などの在り方が変わっていく
全ての自動車が自動運転化するまでは、手動運転と自動運転の両方に対応した道路インフラが求められる。そしてそのために、今後、白線やカラー塗装などの在り方も変わっていくはずだ。
今回の資料では、トラックの自動走行化に向けた案も示されている。具体的には、高速道路本線上に自動運転車が退避可能な退避エリアを設置することなどだ。
資料は経済産業省の公式ウェブサイトにアップロードされており、「https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001385916.pdf」のリンクから閲覧が可能だ。興味がある人はぜひ読んでみてはいかがだろうか。
【参考】関連記事としては「自工会が「自動運転の安全性評価フレームワーク Ver1.0」公表!どんな内容?」も参照。