ブロックチェーン技術を活用したMaaSの実証実験が、2020年8月25日までにスタートした。保険事故発生の自動検出や保険金支払い業務の自動化の技術検証を目的とするもので、民間企業4社が共同で実施している。
4社は、SOMPOホールディングスと傘下の損害保険ジャパン、経路検索大手のナビタイムジャパン、ブロックチェーン関連事業を展開しているLayerX。こうした実証実験は国内で初めてだという。
■「スマートコントラクト」という仕組みを活用
今回の実証実験では「電車の運行遅延」を保険金請求事由と見立て、ブロックチェーン上でさまざまなプログラムを自動実行できる「スマートコントラクト」という仕組みを活用する。
具体的には、JR宇都宮線・高崎線・埼京線の遅延情報を自動検知し、位置情報をもとに遅延の影響を受けたと判定されるテストモニターに対して、保険金に見立てたデジタルクーポンを即時に自動発行・配付するという。
またアンケート調査を通じて参加者の満足度も確認し、技術検証だけではなく、一般ユーザーに受容されるサービスかどうかも検証する。実証実験はナビタイムジャパンのサービスを利用している一部ユーザーを対象に9月末まで実施される。
■「MaaS×ブロックチェーン」の有用性の認識広がる
ブロックチェーンは複数のサーバーでデータを管理することにより、改ざんがされにくいといった特徴がある。そのため、複数の事業者による安全なデータ共有にも向いており、さまざまな交通事業者の連携が不可欠なMaaS領域でも役立つことが期待されている。
今回の実証実験なども通じ、「MaaS×ブロックチェーン」の有用性は今後より広く認識されるようになっていきそうだ。
【参考】関連記事としては「ソニー、ブロックチェーン活用のMaaSデータベース基盤を開発」も参照。