各業界で自動運転技術の活用による業務の自動化が模索される中、「除雪」の分野でも試行錯誤が続く。特に北海道や東北地方では冬季の除雪は必ず必要になるものだが、従来の除雪は人力によるもので、安全や効率の面では課題もある。
「自動運転×除雪」という切り口では政府も取り組みを推進している。国土交通省が2019年11月に公表した資料「自動運転に関する取組進捗状況について」では、現状などが垣間見える。
▼自動運転に関する取組進捗状況について|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001318099.pdf
大きな流れとしては、高精度3D(3次元)マップなどの情報と日本独自の衛星測位システム「みちびき」からのリアルタイム高精度測位情報を組み合わせ、除雪の自動化を目指すというものだ。例えば除雪車の投雪方向を適切に制御することで、電線や標識への投雪の回避なども可能になるという。
■除雪車の自動化に必要な技術は?
「自動除雪車」を実現する上で、必要となる技術は大別して「センシング技術」「除雪制御技術」「道路構造・住宅施設のデータベース構築」の3つだ。
まずは一般車両の自動化でも必要不可欠な「センシング技術」。特に除雪の場合、雪の質や重さなどの堆積状態をリアルタイムで検知する必要がある。こうした雪の状態は、地域や天気によって異なるため、幅広い状況に対応したセンシング技術が求められる。
次に、検知した雪を状況に応じて除雪する「除雪制御技術」が必要だ。除雪には、道路などの陸の雪を除雪するタイプと屋根の雪を除雪する2つタイプが主にあり、オペレーターによる遠隔操作などでもそれぞれのタイプに対応した除雪制御技術が必要となる。
そして、雪下の道路構造・住宅施設のデータベース構築も求められる。
■【まとめ】複雑な中での作業には一定のハードルも
除雪車ドライバーの高齢化や除雪中の事故リスク、除排雪の限られた予算など、除雪における課題は少なくない。さまざまな業界で自動運転の導入が進んでいるが、除雪の自動化にも大きな意義がある。
ただ除雪に関しては、一般的な道路における走行よりも状況が複雑な中での作業も必要になってくるため、なかなか一筋縄ではいきにくいという側面もある。民間企業と国が連携しながら実証実験を積極的に実施していくこともポイントとなりそうだ。
【参考】関連記事としては「もし自分で動かせない自動運転車が、雪道で埋まったら?」も参照。