関係者必読!自動運転車のテストドライバーに求められる要件は?

警察庁のガイドラインを紐解く



現在の自動運転車の実証実験では、想定外の事態や緊急時のためにテストドライバーが同乗し、万が一のときの安全を確保した上で実施されるケースがほとんどだ。


こうした実証実験で重要な役割を果たすテストドライバーであるが、テストドライバーにはどのような要件が求められているのだろうか。

こうした要件は警察庁が2016年5月に公表した「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」にまとめられている。詳しく解説しよう。

▼自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/gaideline.pdf

■テストドライバーは相当の運転経験を有している必要はある?

ガイドラインではテストドライバーについて、「相当の運転経験を有し、かつ、運転技術が優れていること」と明記され、さらに実証実験車両の自動走行システムの仕組みや特性を十分に理解している必要もあるとされている。


また、実験車両の自動走行システムの安全については公道実証前にテストコースなどで十分に確認する必要性も記載されているが、テストドライバーも同様にテストコースなどで運転を行い、緊急時の操作に習熟する必要があることも書かれている。

■テストドライバーはハンドルを常に握っている必要はある?

テストドライバーは自動走行システムで走行している間は、必ずしもハンドルなどの操作装置を把持(※しっかりと握り持つこと)している必要はないが、常に周囲の状況や車両の状態を監視(モニター)し、緊急時などには直ちに必要な操作を行う必要がある、とされている。

また、見通しの悪い場所や交通量が多い場所など、緊急時の操作を行う蓋然性が高い状況ではハンドルなどを把持できるよう、手をハンドルのすぐ近くに保つべきだとの補足もある。

■見通しが良く、交通量も少ない場所では?

公道を走行中でも見通しが良く、さらに交通量も少ない場所においては、ガイドラインでは「アームレストや膝の上に手を置くなど、リラックスした態勢でも差し支えない」と説明されている。


■【まとめ】テストドライバーの需要は確実に増えていく

日本国内における自動運転車のテストドライバーは、訓練を受けたタクシー運転手や既存の車のテストドライバーとして活躍している人が担うケースもあるが、新たにテストドライバーを募集している企業もある。

例えば人材派遣会社のビーネックステクノロジーズは、開発中の次世代自動車のテストドライバーを募集しており、業務内容としては自動運転車の制御装置実験や実車走行などが挙げられている。ちなみに雇用形態は「正社員」で、「当社の正社員として、顧客企業で働く勤務形態です」と説明されている。

【参考】ビーネックステクノロジーズの求人については「テストドライバー(実車走行業務_図面修正) – 栃木県 芳賀郡 – Indeed.com」を参照。

自動運転車の実証実験が盛んに行われているアメリカでは、実証ドライバーが数十人単位で増員されることも多く、今後、各社がより積極的に求人を公表していく可能性は大きい。日本でも自動運転技術の開発を手掛ける企業が増えていることから、テストドライバーの需要は当然増えていくはずだ。

ちなみに自動運転技術の研究開発に力を入れている群馬大学は、学外向けにテストドライバーの講習を実施した実績がある。テストドライブの需要が増えるとともに、こうしたテストドライバーの養成を手掛ける企業も求められていきそうだ。

▼自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン
https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/gaideline.pdf

【参考】関連記事としては「自動運転で存在感!群馬大学の取り組みまとめ」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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