ドイツの自動車大手アウディは新プロジェクト「Artemis」の設立を発表した。責任者に選ばれたアレックス・ヒッツィンガー氏は自動運転の分野でなかなかの経歴の持ち主で、トヨタとアップルでも開発にも関わったCEOお墨付きの「自動運転エリート」だ。
この記事では新プロジェクトの概要に触れつつ、ヒッツィンガー氏の経歴を紹介しよう。
■新プロジェクト「Artemis」が目指すもの
今回の新プロジェクトでは、特定のモデルに向けて開発する電気自動用の新しいテクノロジーや高度な自動運転技術の実現がメインとなる。最初の取り組みとして、2024年に導入予定の高効率な電気自動車を開発するという。
ドイツ・インゴルシュタットにあるハイテク技術の中心組織「INCampus」から、米国の西海岸にある研究開発センターに至るまで、同社のグローバルな経営資源を活用でき、自由度の高いプロジェクトとなっている。
同社のマルクス・ドゥスマンCEOは「フォルクスワーゲングループの各ブランドは、高度なテクノロジーを蓄積し、非常に多くの可能性を秘めています」とした上で、「グループは2029年までに75の電動化モデルを導入することを計画しており、私たちは持てる力のすべてを遺憾なく発揮する必要があります」と語っている。
そしてこのプロジェクトの責任者に任命されたのが、自動運転分野で経験豊富なアレックス・ヒッツィンガー氏だ。ドゥスマン氏はヒッツィンガー氏について「革新的な考え方と優れた行動力を高く評価しています」と述べている。
■CEOお墨付きのヒッツィンガー氏の経歴
こうしたドゥスマンCEOお墨付きのヒッツィンガー氏は、どのような経歴の持ち主なのだろうか。
同氏は、トヨタモータースポーツの開発エンジニアとして自動車業界でのキャリアをスタートした。その後、フォード・コスワースではF1史上最年少のチーフ開発エンジニアに抜てきされ、注目を集めた。
フォルクスワーゲングループではポルシェのモータースポーツチームを指揮し、2015年から2017年にかけて、スポーツ車の歴史あるレース「ル・マン24時間レース」を含む世界耐久選手権で優勝するなど、多数の功績を挙げている。
その後、アップル社で自動運転車の製品開発プロジェクトに携わった後、フォルクスワーゲングループに復帰し、フォルクスワーゲン商用車部門で自動運転や「ID. BUZZ(アイディ・バズ)」の開発を担当した。
今回の発表に至るまで、フォルクスワーゲン商用車部門の技術開発担当取締役とフォルクスワーゲングループにおける自動運転担当の上席副社長を兼任しており、経験豊富な彼の手腕に期待が寄せられている。
■【まとめ】自動運転技術のさらなる向上の予感
アウディといえば、世界で初めて自動運転レベル3(条件付き運転自動化)に対応した自動車「A8」を販売したことで知られる。
そんなアウディの新プロジェクトの責任者に自動運転分野に精通したヒッツィンガー氏が就いたことは、同社の自動運転技術のさらなる向上を予感させる。
【参考】関連記事としては「アウディ「A8」の自動運転技術や価格まとめ 自動運転レベル3搭載」も参照。