世界最高の「車の動き予測AI」、東芝が自動運転社会を近付ける

安価な車載カメラと慣性センサーを活用



東芝は2020年6月7日までに、自動車やドローンなどの安全性向上や自動走行・自律移動の実現に向け、”自車両”の動きを高精度に推定する「自車両の動き推定AI」と、様々な交通シーンで”他車両”の将来の動きを予測する「他車両の動き予測AI」を開発したと発表した。

「自車両の動き推定AI」と「他車両の動き予測AI」のいずれも、車載カメラと動きを検知する慣性センサー(加速度センサー、角速度センサー)が用いられる。


公開データを用いた実験では、従来技術と比較して推定誤差を40%削減して世界最高精度を達成した。一般道でも対応可能だという。

東芝は6月1日にオンライン開催された「International Conference on Robotics and Automatio」でこの技術を発表した。

■自車両の動き推定AI:高速道路でも高精度な推定

「自車両の動き推定AI」では周囲環境の3次元空間地図の作成と車両位置の推定を同時にこなす技術をベースに、慣性センサーを用いている。

車両の動きに応じてカメラ、加速度センサ、角速度センサごとのデータの有用性を各時刻で判定し、変化がある有効なセンサーだけを組み合わせて車両の動きを推定する。この技術は加速減の大きいドローンにも対応するという。


出典:東芝
■他車両の動き予測AI:さまざまな道路形状で有効な「他車両の動き予測AI」

「他車両の動き予測AI」は、実際の道路形状に依存せずに高精度な予測が可能だ。道路形状を一般化した幾何学的な特徴をディープラーニングで学習し、一般道など多様な交通シーンが想定される道路形状でも予測AIモデルの作成が不要となった。

車線ごとの動き予測と将来走行する可能性の高い車線を予測する2段階構成だという。

出典:東芝
■【まとめ】エンジニア育成にも余念がない東芝グループ

自動運転領域での過酷な競争に勝ち残るため、東芝グループは優秀なエンジニア確保に向け、東京大学大学院情報理工学系研究科と共同でAI技術者育成プログラムに取り組んでいる。2022年度までにグループ内のAI技術者を現在の3倍である2000人まで増強する計画だ。

「AI×自動運転」での躍進を誓う東芝。今回の技術は2023年度の実用化を目指すという。


記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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