新たに位置情報マーケティングサービスを手掛ける企業が、自動運転やMaaSなどの革新を推進する企業横断型組織「MONETコンソーシアム」に加入した。株式会社スイッチスマイル(本社:東京都中央区/代表取締役:長橋大蔵)だ。2020年6月7日までに発表された。
スイッチスマイル社は2010年創業で、POI位置情報プラットフォーム「pinable(ピナブル)」など新しい技術を使ったマーケティングサービスを提供している。
MONETコンソーシアムへの加盟により、どのようなシナジーが生まれるのか。同社は「MONETコンソーシアムに加盟する様々な企業と共創することでMaaSをはじめとしたモビリティイノベーションを推進してまいります」としている。
■POI位置情報プラットフォーム「pinable」の注目すべき点
POIは「Point of Interest」の略語であり、地図上にある特定の地点(ポイント)のことを示す。pinableのプラットフォームでは、ビーコンと呼ばれる10cm単位で位置情報を特定できる器具を使い、利用者のスマートフォンと通信して「このお店に来た」などの細かい位置情報を特定し、最適な時間に最適な広告を配信する。
以前から人の位置情報や移動情報を利用したマーケティングは広く行われていたが、GPSやWiFiなどを使ったものが多く、地域の特定はできてもそれ以上の詳細な特定はできなかった。
pinableでは提携施設や店舗にビーコンを設置することで、誰が、いつ、どんな目的で来たのかを特定しやすくなる。店舗の種類によって顧客の趣味・趣向もわかることからよりターゲティングされた広告を配信できるという仕組みだ。
pinableでは提携企業から提供された約1万個のビーコンの情報を利用して、店舗や施設への集客、再来訪を促進する広告を配信している。
■MONETコンソーシアムへの加入で何が起こる!?
MONETコンソーシアムはソフトバンクとトヨタなどの共同出資会社であるMONET Technologiesが設立した団体で、業界や業種を超えてモビリティサービスの革新を推進し、移動における社会課題解決や価値の創造を目指している。
POI位置情報プラットフォームは広告配信を主な目的として使われてきたが、どの場所にどのような人が来ているかを特定できることにより、混雑情報の配信や移動の最適化につながる予測などにも活用できる。まさにMaaSとは相性が良さそうで、MONETコンソーシアム加盟により他の企業とのコラボレーションも期待できるだろう。
2020年6月5日時点でMONETコンソーシアムへの加盟企業は569社となっている。運輸業、自動車メーカーをはじめとして最近では情報・通信業の加盟が多く、様々な情報がMaaSを発展させる要素となっていることは確実だ。
これからも、位置情報マーケティングがMaaSに果たす役割や、MONETコンソーシアムの動向に注目していきたい。
【参考】関連記事としては「MONETコンソーシアム、加盟企業が500社突破 進むトヨタとソフトバンクの仲間作り」も参照。