国立研究開発法人の「産業技術総合研究所」(産総研)は2020年12月17日までに、国からの受託事業として実施している中型自動運転バスの実証実験において、車両がガードレールと接触する事案が発生したと発表した。
報道発表によると、中型自動運転バスがガードレールと接触したのは12月14日の午前9時52分ごろ。事案の発生現場は茨城県日立市の大甕(おおみか)駅付近で、産総研は接触時の状況について以下のように説明している。
自動運転バス運行中にハンドルが急旋回しドライバーは速やかに対応したもののバスの右前方部分がガードレールに接触する事案が発生しました。(「https://www.aist.go.jp/aist_j/news/announce/au20201215.html」から引用)
中型自動運転バスがガードレールに接触した際には一般乗客は乗車していなかった。バスの乗員にもけが人などは出なかったという。産総研は「近隣の方々などに多大なご迷惑とご心配をおかけし、心よりおわび申しあげます」としている。
■事案発生を受けて自動運転での運行は停止
今回の実証実験は、国の「高度な自動走行・MaaS等の社会実装に向けた研究開発・実証事業:専用空間における自動走行などを活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証」の一環として実施されているものだ。実証実験におけるバスの運行事業者は茨城交通。
実証実験の期間は11月30日から2021年3月5日の予定とこれまでに発表されていたが、事案発生後、自動運転での運行は停止しているという。産総研は運行再開について「原因究明を実施し、十分な安全対策が確認された後に、判断いたします」としている。
ちなみに報道発表によれば、接触事案が発生した中型自動運転バスは、東京大学発ベンチャーの先進モビリティが産総研からの委託を受け、中型路線バスを自動運転化(レベル2)したものだという。
■今年8月にも滋賀県大津市で接触事案が発生
産総研が受託した実証実験における接触事案は、今年8月にも発生している。乗客4人を乗せた中型自動運転バスが滋賀県大津市内を運行中、車体左前のセンサーカバーが歩道柵の支柱部分に接触した。
自動運転バスによる接触事案だが、接触は手動運転中に発生したものだった。詳しくは自動運転ラボの記事「接触8秒前に手動介入、運転手の判断ミスが要因 自動運転バスの接触事案」でも解説しているので、読んでみてほしい。
いずれにしても自動運転は先進的な技術であり、試行錯誤の中で実証実験が実施されている。今回の接触事案については原因が調査され次第、その結果が公表されるとみられる。再発防止に向けて取り組みつつ、実証実験が推進されることが期待される。
【参考】関連記事としては「接触8秒前に手動介入、運転手の判断ミスが要因 自動運転バスの接触事案」も参照。