日本でも人間が運転に介入しない「自動運転レベル4」の取り組みが活発になってきた。市街地の一般道における自動運転レベル4の実現に向け、研究開発を進めている日産自動車では、アルゴリズム・AI(人工知能)・シミュレーター開発を担うエンジニアを募集中だ。
実際に自分で作ったアルゴリズムやAIをシミュレーターで評価し、最終的には実験車両にて具現化、公道の実環境で評価することで、自身が作ったものの効果や働きを実感することができる職種だという。
自動運転ラボ恒例の「気になる求人」記事の2025年6月版では、各社が公開している案件から、特に注目したい自動運転&MaaS案件をピックアップして紹介していく。
記事の目次
■日産自動車:レベル4自動運転アルゴリズム・AI・シミュレータ開発エンジニア
2024年度に神奈川県横浜市内でドライバーレス自動運転の実証を行った日産は、数年以内のサービス開始を目指している。同社は、市街地の一般道におけるレベル4自動運転を実現するためのバーチャル開発空間開発と実験を担う人材を募集中だ。
具体的な業務内容は、クラウドを活用し、実車から得られたデータをもとにバーチャル空間を構築するほか、クラウド上でのバーチャル空間を用いた自動運転シミュレータの開発、検証実験、シミュレーションや実環境の走行における機能・性能評価、評価に基づくシステム要求機能の作成、クラウド上での自動運転用AIの開発となっている。
応募には、クラウド、機械学習、生成AI、自動運転技術(IoT、センサ、信号処理、制御)のいずれかにおいて相応な知識や経験があることや、PythonもしくはC++でプログラム開発ができること、コミュニケーション能力や折衝調整能力に長けていることなどが必須条件となる。勤務地は神奈川県厚木市の総合研究所、想定年収は417~766万円となっている。
https://jp.indeed.com/viewjob?jk=8efade94a4514ed3&tk=1iuad2vd5ghl787l
■Vadotech Japan:自動運転試験の運転手チームのシフトリーダー
自動車のテスト業務などを行うVadotech Japanは、自動運転試験における運転手チームのシフトリーダーを募集している。
シフトリーダーは車両運用における極めて重要な管理層であり、日々の運用が最高レベルの安全性と効率性で行われるようにする責任を負うポジションになる。具体的には、車両安全オペレーターやテストドライバーのチームを率いて、タスクが効率的かつ効果的に完了するようにガイダンスやサポート、指示を行ったり、シフト内の日常業務を監督し、会社の基準と目標が満たされていることを確認したりする。また路上テストの品質を監視し、必要な基準を満たしていることを確認するという品質管理なども担当するようだ。
この職種では、プレッシャーのかかる環境でも冷静さを保ち、コントロールできる人を求めている。また日本の運転免許証を持ち、国内での運転経験が8年以上あることなどが必須となる。勤務形態はシフト制で、新横浜のオフィスに常駐する。想定年収は500〜750万円。
https://jp.indeed.com/viewjob?jk=7ca8092c08277544
■つばめタクシーグループ:ライドシェアから始めるタクシードライバー
愛知県名古屋市を中心にサービスを展開するつばめタクシーグループでは、ライドシェアドライバーを募集中だ。AI需要予測システムを活用してお客の送迎を行うライドシェアドライバー・タクシードライバーは、98%未経験で入社しているという。
ライドシェアの対象地域は名古屋市、瀬戸市、津島市などで、金曜日の午後4~7時の間に90台、土曜日の午前0~3時の間に190台が必要とされているようだ。
雇用形態は正社員で、想定月給は30〜69万円。年収例として、初年度は528万円、平均は557万円、最高で900万円が挙げられている。また入社支援金として15万円が支給されるようだ。タクシードライバーになる際に必要な二種免許の取得については、全額会社負担となっている。
https://kyujinbu.com/anshinnagoya/detail/post_11189.html
■KINTOテクノロジーズ:SE、フロントエンドエンジニア
トヨタグループでモビリティサービスを支える技術の開発などを担うKINTOテクノロジーズは、社内サービスの中核を担う「与信・債権管理システム」の新規立ち上げに伴い、体制強化のための増員を行う。DX推進の中核を担うポジションで「MaaS時代の業務システムでフルスタック×マネジメント」を担う人材を募集している。
具体的な業務内容は、与信・債権管理システムの設計・開発や複数フェーズに分かれたプロジェクトの技術的リード、要件整理、アーキテクチャ設計、システム設計の推進などとなっている。開発は基本的にウォーターフォール型で進行するが、柔軟な思考と改善意識を持って取り組める人材を歓迎している。
このポジションに就くには、3年以上のWebアプリケーションの開発経験のほか、Javaによるクラウドネイティブアプリケーションの設計・開発経験、アプリケーション開発におけるリード経験が必須だ。勤務地は東京オフィス・大阪オフィス・福岡オフィスのいずれかになり、全拠点で月8回までのリモートワークが標準となっているようだ。想定年収は800〜1,100万円。
https://www.bizreach.jp/job/view/4954077/
■【まとめ】自動運転業界の経験が不要でも!
各社の求人から、本格的な自動運転・MaaSの時代が到来したことが感じられる。ただし専門知識は必要であるものの、自動運転・MaaS分野での経験は不要な職種がほとんどだ。これから伸びていくこの業界に挑戦するなら今がチャンスだ。
【参考】関連記事としては「ライドシェアよりも「夜勤タクシー」が断然稼げる・・・って本当?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)