テスラの自動運転タクシー、また延期?「大規模テスト見たことない」との指摘

有力ベンチャーPony.aiのCEOが発言

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出典:Dunk / flickr (CC BY-SA 2.0 DEED)

2025年6月から自動運転タクシー(ロボタクシー)を運行する計画を発表している米EV(電気自動車)大手のテスラ。予定通りであればあと2カ月ほどでテスラのロボタクシーが始動するはずだが、雲行きが怪しくなってきたかもしれない。

同社は最初のロボタクシー実用化の都市について、テキサス州オースティンとすることを発表済みだ。しかしオースティンも含め米国の都市で、テスラが自動運転車を大規模テストしている様子はなさそうなのだ。中国発の有力自動運転開発ベンチャーPony.aiのトップが発言している。

一般的に自動運転のサービス開始前には大規模な走行テストを行い、さまざまなデータを取得したりシミュレーションを行ったりするはずだ。これまで数年にわたり、「自動運転は近く実現する」といった主旨の発言を繰り返してきたテスラCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏だが、大丈夫なのか。

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■「テスラの大規模テストは見たことがない」

右がPony.aiのCEOのJames Peng氏=出典:Pony.ai公式サイト

テスラの大規模テストについて発言したのは、中国の自動運転スタートアップPony.ai(小馬智行)の共同創業者兼CEOであるJames Peng氏だ。Pony.aiはGoogleとBaidu出身の2人により2016年に設立され、中国と米カリフォルニア州を拠点にロボタクシーの開発を進めている。トヨタが出資していることでも知られている注目企業だ。

Peng氏は2025年3月にシンガポールで開催されたサミットにおいて、テスラが今年ロボタクシーサービスを開始するかどうかについて意見を求められた。しかし同氏はそれについての回答を避け、「テスラのロボタクシー計画は規模が大きいが、まだ大規模なテストは見ていない」と語った。

またPeng氏はロボタクシーサービスを実用化済みで、さらなるサービス拡大を進めているGoogle系の自動運転開発企業Waymoについても言及した。「米国ではサンフランシスコやロサンゼルスの街中でWaymoのロボタクシーがすでに広く普及しており、どこでも見かけることができる。サンフランシスコではWaymoのアプリはすでにUberに次いで2番目に人気のあるライドシェアアプリとなっており、Lyftを上回っている」といった内容だ。

「つまり、自動運転ライドシェアは確実に普及しつつあり、地元住民にとって事実上の移動手段になりつつある」とも断言している。これに対し、始動がすぐ先に迫るテスラのロボタクシーについては、テストしている様子を一度も見ていないとは、どういうことなのだろうか。

■テスラのロボタクシー計画とは

2025年3月初めには、テスラが米カリフォルニア州の公共事業委員会(CPUC)に、チャーター輸送事業、いわゆる配車サービスの申請をしていることが明らかになっている。申請が認可されれば、テスラは自社車両を所有・運営でき、ロボタクシーサービスをカリフォルニア州で展開することが可能になる。

カリフォルニア州でドライバーレスの有料ロボタクシーを運行させるためには、CPUCと道路管理局(DMV)の許可を取得する必要がある。DMVが公道走行許可を出し、CPUCが事業化・商用化に向けた許可を出すようなイメージで、無人サービスの実現には両者からの許可が必須となる。

テスラはカリフォルニア州において、すでにDMVからセーフティドライバー有りでの自動運転車のテスト走行許可を取得済みだ。しかしDMVが公表している認可済みの自動運転車メーカーの2024年のテスト走行レポートにはテスラの名前はない。

▼2024 Autonomous Mileage Reports/2024年 自律走行距離報告書|DMV
https://www.dmv.ca.gov/portal/vehicle-industry-services/autonomous-vehicles/disengagement-reports/

カリフォルニア州以外でテストを行っているのかもしれないが、そういったニュースやうわさも聞こえてこない。Pony.aiは中国でロボタクシーをすでに実用化し、米国での実装も目指している。そのPony.aiのCEOがテスラの大規模テストを「見たことがない」と言っているのなら、テスラがまだ大規模テストを行っていないというのは事実の可能性が高そうだ。

なおテスラが最初にロボタクシーの運行を予定しているテキサス州は、米国の中でも自動運転車の規制が緩いことで知られている。ロボタクシーを運行するにあたっては同州の営業許可を取得する必要があるが、今年2月時点ではまだ申請を行っていなかったと報道されている。

■6月に運行がスタートするのか注目

テスラは2024年10月にロボタクシー専用車「Cybercab(サイバーキャブ)」を発表した。車内にはハンドルやペダルが備えられていない完全自動運転向けの車両となる。この車両の生産開始は2026年で、2027年に本格生産を行っていく計画だ。

そして同社のEV「モデル3」と「モデルY」に自動運転機能を搭載した車両を用いて、2025年にカリフォルニア州とテキサス州で有料のロボタクシーサービスをスタートすることも発表した。2025年1月には、同年6月にオースティン、その後段階的に他の都市へも拡大していく計画であることを明かしている。

自動運転車はデジタルツイン上で実証実験が行われていることも多いが、客を乗せてサービスを行うロボタクシーでは、実際の道路をテスト走行することは必須だ。テスラは本当に6月からロボタクシーを走行させることができるのだろうか。計画が後ろにずれ込むことはないのだろうか。注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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