自動車AI(人工知能)とジェネレーティブデザインにおける世界の市場規模は、2033年に約28億3,390万ドル(約4,300億円)になるという予測結果が発表された。
この調査を行ったのは、市場調査会社の米Market.USだ。自動車AIとジェネレーティブデザインは、自動車産業の変革に大きく寄与すると考えられている。自動運転車やコネクテッドカーの開発において、この2つは重要な要素となる。
なおジェネレーティブデザインとは、人間とコンピューターが共同で作り出すデザインや制作手法のことを指す。設計者がコンピューター上のソフトウェアに特定の情報を入力することにより、最適な製品設計を生み出すことができる技術だ。コンピューターによるデザインの自動生成と言い換えることもできる。
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■2033年までにCAGR16.5%で拡大
自動車AIとジェネレーティブデザイン市場は、2023年の6億1,540万ドル(約940億円)から2033年には28億3,390万ドル(約4,300億円)規模に拡大すると予測されている。2024年から2033年までのCAGR(年平均成長率)は16.5%になる見込みだという。
■地域別では北米がシェア1位
2023年は、北米が世界シェアの36%以上を占める2億2,150万ドル(約330億円)規模でこの市場をリードした。米国とカナダの大手自動車メーカーやIT企業は、AI技術開発に多額の投資を行っており、車両の性能と効率を向上させる高度なジェネレーティブデザイン・ソリューションの需要が高まっていることが要因と考えられている。
また、北米は他の地域に比べて新しい技術の迅速な導入と実装に積極的だ。ソフトウェアやAIの大手企業のほか多数の新興企業が、自動車設計におけるAI開発に注力している。
なお自動車AI・ジェネレーティブデザイン市場のアジア・太平洋エリアにおける主な国としては、中国や日本、韓国、シンガポール、インド、オーストラリアが挙げられている。
■自動運転車分野も30%以上のシェア
2023年の自動車AI・ジェネレーティブデザイン市場においては、自動運転車分野が30%以上と大きなシェアを獲得した。AIとジェネレーティブデザイン技術が、自動運転車の開発と機能向上を行うために極めて重要な役割を果たしていることが分かる。
自動運転開発では、車両の自律走行に必要な複雑な意思決定を処理できる高度なAIシステムが必要とされている。AI技術を導入することにより、自動運転車両が周囲の環境を認識し、リアルタイムで情報に基づいた意思決定を行い、新しいシナリオから学習可能になる。AIにより機械学習アルゴリズムを通じて継続的に技術改善できるため、自動運転車の安全で効率的な走行に不可欠な技術だ。
またジェネレーティブデザインは、自動運転車の性能とエネルギー効率にとって極めて重要となる重量や耐久性、空力特性に関して車両コンポーネントを最適化することを可能にしている。
■世界のキープレイヤーにテスラやホンダ
自動運転開発が進むにつれ、AIやジェネレーティブデザインの必要性が急速に高まっている。自動車AI・ジェネレーティブデザイン市場は、イノベーションの最前線に立ついくつかの企業により拡大が牽引されている。
ちなみに今回の調査では、下記の企業をこの市場における「世界のトッププレイヤー」として位置づけている。自動運転タクシー専用車の発表で注目を集めているテスラや、世界で初めて2021年に自動運転レベル3の市販車を発売したホンダ、そしてトヨタなども含まれている。
- テスラ:米国
- BMWグループ:ドイツ
- アウディAG(フォルクスワーゲン・グループ):ドイツ
- GM(ゼネラルモーターズ):米国
- トヨタ自動車:日本
- フォード・モーター:米国
- ダイムラーAG(メルセデス・ベンツ・グループ):ドイツ
- NVIDIA:米国
- Autodesk:米国
- シーメンス:ドイツ
- ボルボ・グループ:スウェーデン
- ホンダ:日本
ここで挙げられた12社中、2社が日本企業となった。日本の車載システムや自動運転開発にも期待が高まっていることが分かる。引き続き、市場動向に関心が集まりそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転車の市場調査・レポート一覧(2024年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)