株価が低迷していたとある米国企業が、ここに来て上り調子となっている。その企業とは自動運転開発企業のAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)だ。この1年弱で株価が約3倍、1年半では約4倍になっている。
もしかすると、自動運転化で手こずっている米EV(電気自動車)大手のテスラが、技術の取得目的にAuroraを買収するのでは・・・といった噂を聞きつけた人が、密かに買い手となってAurora株を買い続けている──。そんな仮説を立てる人も出始めている。
テスラは数年前から自動運転車の発表はもうすぐとしておきながら、まだ実現できないでおり、他社に先を越されている状況だ。そのテスラなら、優れた自動運転技術を有する企業の買収を模索してもおかしくはない。
【参考】関連記事としては「自動運転、米国株・日本株の関連銘柄一覧(2024年最新版)」も参照。
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■トヨタとも提携する注目企業Aurora
Aurora Innovationは、Googleやテスラ、Uberで自動運転開発に携わっていた3人の技術者により、2016年に設立された。同社はさまざまなメーカーが製造した異なる車両で動作可能な自動運転システム「Aurora Driver」の開発を進めており、世界のOEMとのパートナーシップのもとグローバル展開していく自立した戦略を打ち出している。
2021年2月にトヨタとデンソーと戦略的パートナーシップを締結したことを発表し、2022年3月には、トヨタの自動運転MaaS専用車両「Sienna-AutonoMaaS」にAurora Driverを統合した試験車両を公開した。
Auroraが株式上場したのは2021年11月で、米ナスダック市場にSPAC上場した。ティッカーシンボルは「AUR」で、初日の終値は9.60ドル。一時は17ドル台まで値を伸ばしたが、株式市場全体の低迷などが相まって、2022年前半から下落し、2023年前半までは1ドル台の前半をうろうろしていた。
それが変化してきたのは2023年後半からだ。12月後半には4ドル台に値を戻し、2024年に入っても上昇基調となっている。2024年9月25日の終値は6.4ドルで、2023年始めと比較して4倍となっている。
【参考】関連記事としては「Aurora Innovationの自動運転戦略」も参照。
■自動運転トラックの商用運行開始に注力
Auroraは2023年11月に自動運転トラックの商用ルートを開設したことを発表している。また2024年に入り、自動車部品メーカーの独コンチネンタルと自動運転トラックのシステムについて、2027年に量産を開始することを発表した。
続いてスウェーデンの自動車メーカーVolvoとは、Volvo初の量産型自動運転トラック「Volvo VNL Autonomous」を共同開発したことを発表している。自動運転レベルは4となり、2024年末には運行される予定となっている。
Auroraは2024年末までに自動運転トラックの商用運行を開始するという計画に向け、同年8月に大型の資金調達を行った。目標を上回る4億8,300万ドル(約691億円)を調達したという。商用運行が開始されると、Auroraはやっと売上を確保できるタームに入ったと言える。
■テスラは自動運転タクシーを発表予定
明るいニュースが続くAurora。それに対し、テスラの自動運転についての具体的な取り組みはあまり聞こえてこない。今のところ明かされているのは、2024年10月に自動運転タクシー発表の件のみだ。自動運転タクシー「Cybercab(サイバーキャブ)」を発表するという。
当初、この発表は8月8日を予定していたが、7月23日開催の2024第2四半期決算説明会の場で急遽延期が発表された。Cybercabのデザイン変更などが求められたことに伴い、プロトタイプの製作に時間を要するためという理由であった。
テスラは今度は本当に自動運転車を発表することができるのか。10月10日に大注目だ。またAuroraの今後の動向も注視していきたい。
【参考】関連記事としては「テスラ、10月10日起点の「自動運転バブル」で株価180倍超えも ロボタクシー発表へ」も参照。