自律型AI、2036年に80兆円市場へ!自動運転など実用化加速へ

最新市場調査、年平均36%と爆速成長か



Google系Waymoが開発する自動運転車=出典:Waymo公式サイト

自律型AI(人工知能)や自律型エージェントの市場規模は、2023年の400億ドル以上(約6兆円)から2036年までに5,080億ドル(約80兆円)に達するという調査レポートが発表された。

このレポートは米調査会社Research Nester Analyticsの日本オフィスにより発表されたもので、同市場はCAGR(年平均成長率)36%で成長するという。自律型AIなどは、自動運転には欠かせない技術だ。自動運転車の需要が増加することも、市場の成長を後押ししているようだ。


■自律型AIおよび自律型エージェント市場の現状

Research Nesterの分析調査分析によると、さまざまな分野でAIの応用が拡大していることにより、自律型AIおよび自律型エージェント市場の規模が大幅に拡大しているという。2024年のレポートによると、医療、金融、運輸、製造など多様な分野の企業の22%が自社の業務にAIを積極的に取り入れており、高度なアルゴリズム、機械学習技術、データ分析などで活用している。

自律システムは人間の介入なしで動作するように設計されているため、疲労や注意散漫などから起こるケアレスミスが起こることはない。そのため、医療や輸送といった分野でセキュリティと信頼性を向上させることに寄与している。

ただし、自律型AIシステムとエージェントの採用が進むことにより、自動運転車やロボットにまつわる事故やトラブルが起こる可能性もある。自動運転システムが関与する事故について、責任の所在を明らかにすることは法律上の課題の一つで、現在、議論が日本を含む世界各国で行われている。

ただ現時点では、自律型AI技術の急速な発展と比べると、全体的には法的枠組みや規制が追いついていないのが現状であり、この市場調査ではこのことが市場の成長を妨げると予想している。


出典:Research Nester Analyticsプレスリリース

■日本の市場予測は?

日本市場についても、自律型AIおよび自律型エージェント市場は2036年末までに大幅な成長を遂げると予測している。少子高齢化や労働力の減少により、日本でもAIの導入が進み、製造や物流、小売などの業界におけるAI搭載ロボットや自律システムへの需要が高まっていくという。

自律エージェントが接続されたさまざまなデバイスやシステムと対話し、制御できるようにするために、AIとモノのインターネット(IoT)の統合が日本で一般的になりつつあるという。また日本企業の一部はAIアルゴリズムにより大量の顧客データを分析し、ターゲットを絞った製品やサービスを提供することで、事業のさらなる成長を後押ししている。

■世界・日本の主要プレーヤーは?

今回の調査レポートでは、自律型AIおよび自律型エージェント市場における主要プレーヤーも紹介されている。Amazon Web Services(AWS)、Microsoft、Bosch、Google、Waymo、OpenAI、SAP SE、CognosysAI、ServiceNow、NVIDIAなどだ。

AWSは、あらゆる規模の組織が新しい生成AIアプリケーションを構築し、従業員の生産性を向上させ、ビジネスを変革できるようにする5つの生成人工知能イノベーションを発表した。Boschは、自動運転を強化するためにMicrosoftと協力してAIの利用を推進している。


そして日本市場におけるプレーヤーのトップ5は、電通グループ、大日本印刷、NEC、日立、ソフトバンクとなっている。

  • 電通グループ
  • 大日本印刷
  • NEC
  • 日立
  • ソフトバンク

このうち例えば大日本印刷は、自動運転ロボットの経路をAIで最適化する取り組みなども行っている。

■自動運転車の技術向上に注目を

自動運転の実用化に欠かせない技術である自律型AI・自律型エージェント市場の成長とともに、自動運転の技術力も向上していくだろう。

ヨーロッパでは車両の7%以上が2023年までに自動運転化されると予想されているという。自動運転車に対する需要の高まりも、ヨーロッパ地域における同市場の成長を促進しているようだ。

今後10年ほどで、自動運転業界の技術開発は大幅に進むことが予想される。

【参考】関連記事としては「自動運転車の市場調査・レポート一覧(2024年最新版)」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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