損保ジャパン、「空飛ぶクルマ」の賠償保険を発売

バーティポートでの事故も補償対象



出典:経済産業省

次世代モビリティの開発が進むにつれ、保険会社のサービスも進化している。すでに自動運転車に対応した保険は提供されているが、「空飛ぶクルマ」向けの保険も登場している。

損害保険ジャパン(損保ジャパン)は「空飛ぶクルマ事業者専用賠償責任保険」を開発し、このほど販売を開始した。


eVTOL(電動垂直離着陸機)などの空飛ぶクルマ産業の成長への貢献を目指すもので、事業化に関連するリスクへの知見を高め、保険と事故防止の両面で高い顧客サービスを実現し、空飛ぶクルマの安心・安全な社会実装を支援していくという。

■「空飛ぶクルマ事業者専用賠償責任保険」の概要

空飛ぶクルマ事業者専用賠償責任保険は、機体や部品、その他関連機器等の製造・加工・整備・販売に関わる製造物責任やバーティポート(離発着場)の管理運営に関わる賠償責任などを包括的に補償するものだ。

【参考】関連記事としては「バーティポートとは?「空飛ぶクルマ」の離着陸場」も参照。

対象となる主な業種は、機体や部品、その他関連機器などの製造加工メーカーや修理業者、販売商社、格納庫管理者、バーティポートの管理・運営業者などだ。


3つのリスクにおいて、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担する場合に被る損害が補償対象となる。

1つ目は、空飛ぶクルマ機体、部品、関連機器などの製造・加工・整備・販売に関わる「生産物リスク」だ。2つ目は、バーティポート、滑走路、格納庫、整備工場などの施設管理・業務遂行に関わる「施設管理・業務遂行リスク」、3つ目は、他人から受託する空飛ぶクルマ機体、部品、関連機器の「格納庫管理者リスク」となっている。

出典:損害保険ジャパンプレスリリース

損害賠償金は、身体障害の場合は治療費や入院費、慰謝料、休業補償などで、財物損壊の場合は損害が生じた財物の修理費や再調達に要する費用などとなる。弁護士費用などの争訟費用も補償対象となる。

なお機体の運行リスクを補償する保険は、2023年2月に販売を開始している。


■保険開発の背景は?

損保ジャパンはこれまで、空の移動革命に向けた官民協議会に参画し、地方自治体とプロジェクトで連携したり、空飛ぶクルマ開発企業であるSkyDriveに出資し業務提携を行ったりという取り組みを進めてきた。

また岡山県倉敷市の航空・自動車関連企業などで組織する「MASC(マスク)」が大分市で行った空飛ぶクルマの試験飛行用に機体保険を開発・提供し、国内での空飛ぶクルマの安定した保険制度づくりも担った。2025年開催の大阪・関西万博に向けては、総合商社の丸紅が実施する実証実験においてリスクアセスメントを行っている。

損保ジャパンが損害賠償責任や弁護士費用、原因調査分析といった「保険で対策」を行い、
グループ会社のSOMPOリスクマネジメントがドローンの活用と自動運転実証参加などでの「コンサルで予防」をするといった役割分担になっている。

空飛ぶクルマの実用化にあたり、事業者は機体の運行リスクだけでなく、機体製造やポート管理に関わる賠償責任などのさまざまなリスクを抱えることになる。そのリスク対策について、損保ジャパンが幅広くサポートすることで事業化を促進し、社会課題を解決し得る新しいモビリティ社会の発展に貢献することになる。

それは、同社の「保険事業とその先にある安心・安全・健康の領域で、お客さまにとって価値ある商品・サービスを創造し、社会に貢献していく」というミッションの実現にもつながると考え、今回の保険の開発・販売に至ったという。

出典:損害保険ジャパンプレスリリース

■関連サービスの開発が勢いづく?

今回の保険は、海外の再保険会社との再保険スキームを新たに構築することで、参入事業者を安定的かつ長期的にサポートできる保険制度となっているという。機体の破損などだけでなく、バーティポートでの事故も補償対象になっているということが、空飛ぶクルマの実用化がより現実的になっていることを物語っている。

空飛ぶクルマ自体の研究・開発のほか、実装を見据えた関連サービスの取り組みも各業界で始まっている。その勢いは2025年の万博に向けて、ますます加速しそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転車向け保険一覧」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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