Googleの自動運転部門、インターンにも年収2,000万円提示

Waymoが求人掲載中、日本と大きな差



Google系の自動運転開発企業である米Waymoが、インターンを募集中だ。10万5,000〜12万5,000ドル(約1,600〜1,900万円)という高額な年収が提示されている。この年収を得られる正社員すらほとんどいない日本企業とは、大きな差が生じている。


具体的にどんな仕事内容でどんな人材を募集しているのか。

■コンピュートプラットフォーム開発者
Google系Waymoが展開している自動運転タクシー=出典:Waymo公式ブログ

Waymoはすでにドライバーレスの自動運転車を実用化済みであるが、さらに高度な自動運転技術の開発に取り組んでいる。同社のコンピューティングチームには、完全自動運転車のソフトウェアスタックを実行するコンピュートプラットフォームを提供するという重要なミッションが課されているという。

そのため、同チームは高性能なカスタムシリコンを設計・作成するほか、パフォーマンスや消費電力、遅延の向上のためのコンピューティングアーキテクチャを開発している。その開発において、世界最高性能の車載用コンピュートプラットフォームの開発に携わる、好奇心旺盛で才能豊かな人材を募集しているという。

このインターンシップのポジションの職務内容として、3つ挙げられている。1つ目はプロダクショングレードのコンパイラを強化・拡張することにより、ニューラルネットワークのパフォーマンスを最大化することだ。2つ目はハードウェアの設計担当者やモデル開発者と協力し、独自のニューラルネットワーク推論プラットフォームとニューラルネットワークについての理解を深めること、3つ目はWaymoのアーキテクチャの新機能をサポートするコンパイラの実装だ。


▼Intern, Compute, ML Compiler|Mountain View, California, United States|Waymo
https://waymo.com/joinus/5508786/

求められる知識・経験は?

応募の際の必須条件は、コンピューターサイエンスまたは関連技術での修士号もしくは博士号を取得していることだ。コンパイラに関する経験やC++のプログラミングスキルも必要になる。

さらに、機械学習の推論または線形代数計算に関する経験や、ニューラルネットワークに関する知識、Pythonプログラミング経験などがあれば歓迎される。

提示されている年収は、修士号取得者で10万5,000ドル(約1,600万円)、博士号取得者は12万5,000ドル(約1,900万円)となっている。


■ソフトウェアエンジニア部門
出典:Waymo公式サイト

Waymoのソフトウェアエンジニアリング部門では、同社の完全自動運転技術の「頭脳」を構築しているという。この部門では、ハードウェアエンジニアやシステムエンジニアと協力し合い、ロボット工学や知覚、意思決定、ディープラーニングなどの分野において研究し、技術的課題を解決している。募集しているのは、レベル4の自動運転開発に興味があるソフトウェアエンジニアや研究者だ。

具体的な業務内容として、自動運転車向けの信頼性が高く実用化可能なディープラーニングモデルを構築し、車両の挙動が周囲の人やクルマにとって安全かつスムーズで、予測可能であることを保証することが挙げられている。そのほか、複雑な状況においての自動運転車の行動を改善すること、最先端の車両で収集された実走行データを分析し、課題を抽出することなども担う。

▼2024 Intern, PhD, Planning/Behavior Prediction|Mountain View, California, United States|Waymo
https://waymo.com/joinus/5443072/

求められる知識・経験は?

応募には、コンピュータサイエンス、機械学習、ロボット工学、関連技術分野の博士号取得者、または同等の実務経験者であることが必要だ。また、ディープラーニング研究ツールの使用経験や、PythonやC++でのソフトウェア設計・開発経験も求められる。

機械学習における主要な国際学術会議での発表経験や、ディープラーニングに関する知識などがあればなお良い。

この職種では、年収125,000ドル(約1,900万円)が提示されている。

どちらの職種においても、各種保険やメンタルサポート、疾病休暇といった制度がきちんと整備されている。またWaymoのカフェやウェルネスセンターなどの施設を利用できるなど、福利厚生が整っているようだ。

■世界トップの自動運転開発企業

Waymoは、Googleの自動運転開発部門が2016年にスピンアウトし誕生した、自動運転分野におけるリーディングカンパニーだ。

2018年に世界初の自動運転タクシーの有料商用サービス「Waymo One(ウェイモワン)」をアリゾナ州フェニックスで開始した。現在はカリフォルニア州サンフランシスコでもドライバーレスの自動運転タクシーサービスを展開している。

さらに、オリジナルの自動運転タクシー製造に向けた取り組みも進めている。これまでは量産車をベースに自動運転システムを統合していくスタイルだったが、提携する中国GeelyのプレミアムEV(電気自動車)ブランド「Zeekr」がハンドルやペダルなどを備えないオリジナルモデルの製造を行う計画が発表されている。

日本でも、ハイレベル人材は年収1,000万円オーバーという例も増えてきた。しかしインターンシップでも2,000万円クラスを提示できるWaymoには、これからも高い技術力を持つ人材が集まっていきそうだ。

【参考】関連記事としては「自動運転、一番進んでるメーカーは?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事