自動運転車、事故多発は「仕方ない?」 3カ月で相次ぎ4件発生

実証・実用化加速で発生事例が増える



出典:アイサンテクノロジー公式サイト

2024年1月17日、愛知県常滑市で自動運転車の事故が起きた。自動運転車両の事故は2023年10月と11月、そして今年に入り1月初旬にも起きており、これで昨年秋からの約3カ月で4件発生したことになる。

自動運転車の実証実験の加速や実用化の進行に伴い、事故が増えるのは仕方がないことなのか。事故の概要を時系列で振り返った上で、考えてみよう。







【自動運転ラボの視点】
ちなみに「自動運転車の事故」であっても、厳密には「自動運転車が手動運転中に起きた事故」も含まれるため、自動運転ラボの記事を含め、こうした事故に関するニュースを読む際は、その点に留意してほしい。
■2023年10月29日:「日本初のレベル4」で事故
自動運転車両の接触箇所:バンパー左側(接触跡は外観では判別不能)=出典:永平寺町

1件目の事故は2023年10月29日。「日本初のレベル4」としてスタートした福井県永平寺町の自動運転移動サービスにおいて発生した。自動運転車両が駐輪されている無人の自転車と接触したのだ。

レベル4の運行自動運行移動サービスを担当する「特定自動運行主任者」が、遠隔監視室のモニターで走路上に無人の自転車があることに気づいて停止操作を行った。しかし車両は停止せず自転車と接触。接触によりバンパーにある衝突を検知するスイッチが作動して緊急停止した。事故による負傷者はおらず、自転車、自動運転車両ともに目視で確認できる損傷はなかった。

■2023年11月25日:福岡市でタクシーと接触
出典:ソフトバンク・プレスリリース

2件目の事故は、同年11月25日に福岡県福岡市で発生。自動運転車両は、JR箱崎駅東口のバス停に停車後、自動運転モードで発車。前方に停車していた一般車両を検知して自動停止した後、同車両が動き出したため自動で発進した。

右斜め前方に動き出したところ、後方から来たタクシーと接触した。自動運転車両、タクシーともに被害は物損のみであった。

■2024年1月7日:茨城県境町で手動運転中に衝突事故

3件目は2024年1月7日に茨城県境町で起きた事故だ。道路沿いの施設からバックしてきた乗用車が、走行中の自動運転バスの左側面に衝突した。

バスに乗客はおらず、双方の運転手にけがはなかった。現場は片側1車線の直線で、警察が事故原因を調べている。なお、事故当時のバスは手動運転中だった。

■2024年1月17日:常滑市での実証テスト走行中に発生
出典:アイサンテクノロジー公式サイト

そして4件目が、1月17日の事故だ。愛知県常滑市で行われていた自動運転実証実験のテスト走行中に事故が起きた。

システムがハンドルのみを操作するテストを行っているとき、ハンドルの動作に異常を確認した運転手が手動運転に切り替えたが、道路中央のゴム製ポールに接触。車両の前方バンパー右側に、こすったような痕跡ができた。

原因の特定・システムの修正を行ったが、運行を再開するためには、安全に走行できることを確認するため、改めてテストを実施する必要があるという。そのため、1月23~26日の試乗は中止となった。今後、警察の指導・監督のもと、十分に安全を確保した上で運行再開に向けて取り組んでいくとしている。

▼自動運転バス実証実験におけるテスト走行中の物損事故について
https://www.aisantec.co.jp/ir/information/zm20240118_2.pdf

■手動運転中でも「自動運転車両の事故」

冒頭の【視点】でも触れたが、「自動運転車両の事故」と聞くと、つい自動運転システムに不備があったのだろうと考えてしまうが、そうとは限らない。3件目の境町での事故原因は調査中だが、事故は手動運転中に起きている。

ただし永平寺町の事故などは、自動運転システムの不備が明らかになっている。事故の原因は、自動運転車両に搭載されているカメラが無人の自転車を認識できず、自動ブレーキが作動しなかったことにある。

認識できなかった理由として、無人の自転車を認識するための事前の学習データが十分ではなかったことなどが挙げられ、今後は検知の難しい画像の追加学習などの対策が取られる。なお、障害物を検知するレーダーとセンサーは正常に機能し、自転車を検知していたという。

ちなみに自動運転レベルは1件目のみが「レベル4」で、そのほかの3件は「レベル2」(部分運転自動化)で作動していた。

■原因究明と再発防止策の徹底が重要

事故が相次いでいるのは、実証実験や実用化が盛んに行われるようになったからだ。運行の母数が増えれば、当然、事故の実件数も増える。そのため事故件数が増えること自体は、ある意味、仕方がないことと言える。

しかし「事故率」については、また別な考え方が必要となる。運行母数が増えれば事故件数が増えるのはある意味仕方がないが、事故率が高くなるのは受け入れることはできない。事故率が高まるということは、危険度が増しているということに他ならないからだ。

いずれにしても、事故やトラブルはさまざまな課題を浮き彫りにし、改善すべきことを明確にしてくれる。原因究明と再発防止策をしっかり行い、教訓を技術や安全度の向上につなげることが重要だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)









関連記事