MaaS関連サービスを手掛けるPathfinder株式会社(本社:東京都板橋区/代表取締役:小野崎悠介)は、自動運転社会見据えて「最適配置アルゴリズム」を開発しており、2024年1月4日までに開発加速に向けて資金調達を行った。
具体的には、プレシリーズAで総額1.1億円の資金調達を実施した。これにより、最適配置アルゴリズムの実証事業である片道専用レンタカー「カタレン」において、大手レンタカー事業者との連携や実証実験、アルゴリズム開発を加速させるという。
■最適配置アルゴリズムの開発を手掛ける
Pathfinderは、総合商社の豊田通商で自動運転に関するプロジェクトに携わっていた小野崎氏により2020年1月に設立された。より良い自動運転社会の実現に向けて、MaaS事業を構築している。最終的には、完全自動運転社会における長距離に強い最適配車プラットフォームの実現を目指しているという。
政府は2027年度に100カ所以上で自動運転移動サービスを実現することを目指しており、現在官民連携で開発を進めている。それにあたり不可欠なのが、自動運転車両の回遊性を高め、適切なスペースに適切な車両を配置する「最適配置アルゴリズム」だという。Pathfinderは、カタレンを事業基盤として車両の配置・回遊データを収集し、最適配置アルゴリズムの開発・運用を行っている。
今回の資金調達により、CxO(Chief x Officer)を中心とした人材の確保や、購入およびリースによる車両の拡充、レンタカー会社との協業に向けたシステムの整備を進めていくという。
自動運転社会での展開をゴールとして技術開発・サービス開発をする場合であっても、その途中でマネタイズや商用化に取り組むことは、非常に大きな意義がある。技術・サービス開発を継続するための資金力を維持することにつながるからだ。商用展開する中でさまざまな知見が蓄積され、ユーザーからのフィードバックを得られることも大きい。
■片道専用レンタカー「カタレン」とは?
Pathfinderが手掛けるカタレンは、日本初の出発店舗・返却店舗が固定の片道専用レンタカーのマッチングサービスだ。多数のレンタカー・カーシェア事業者と提携し、回送車両やレンタカーの上り片道利用ユーザーと下り片道利用ユーザーをマッチングさせる「片道乗り捨て専用レンタカーのマッチングプラットフォーム」となっている。
本来レンタカーとして利用されない車両を活用するため、事業者は回送コストを抑えるだけでなく収益に変えることが可能になり、また一般のレンタカー事業者にとっては必要な車両数を削減できるなどが車両提供側の利点だ。
また、一般的にレンタカーは貸出と返却が同じ営業所である場合がほとんどだが、乗り捨て型のレンタカーであるカタレンを活用することにより、利用者にとっては移動の自由度が広がる。さらに、本来事業者がコストをかける回送車両を使うため、通常のレンタカーの約5分の1の価格で利用可能になっている。
カタレンは現在、東京・新横浜〜名古屋、東京〜京都、東京〜大阪の首都圏路線のほか、千歳〜函館の北海道路線、福岡空港〜長崎空港などの九州路線を展開している。
■三菱地所パークスなどとの協業もスタート
Pathfinderは長距離レンタカーの発着拠点の順次開設に向け、三菱地所パークスと協業を開始したことを2023年11月に発表した。第1弾として、三菱地所パークスが運営する駐車場の空きスペースを活用して日比谷の拠点を同年12月に開設した。今後、三菱地所パークスが管理運営している駐車場を活用し、全国展開していくことも検討しているようだ。
2023年12月には、国内最大手長距離ライドシェア「notteco」を運営するアディッシュプラスと協業を開始したことを発表した。同じ目的地、同じ趣味の人の車とマッチングし、相乗りができるサービスであるnottecoとカタレンが連携することにより、カタレンのユーザーの車に、nottecoを利用して相乗りするユーザーをマッチングするなど、相互の送客が見込める。
また、アディッシュプラスのMaaS向けカスタマーサクセスサービスをカタレン向けに提供することで、カタレンのサービスレベルをより一層高めていくとしている。
スピード感をもって事業を進めるPathfinder。今回の資金調達により、ますます活躍の幅が広がりそうだ。
【参考】関連記事としては「MaaS革命!乗り捨てレンタカーを東京〜京都間「5,000円〜」提供」も参照。