無人化の極み!水上タクシーを自動運転化、しかもソーラー充電式

フィンランド企業Callboatsがサービスイン



出典:Callboats公式サイト

世界初の自動運転水上タクシーが、フィンランドの首都ヘルシンキでサービスを開始する。ボートを開発したのは水上モビリティを開発するフィンランド企業のCallboatsで、自動運転による水上タクシーの商業サービスをヘルシンキ周辺の島間で開始するという。

この水上タクシーはソーラー充電式の電気ボートで、これを活用することにより大幅なコスト削減と人員不足の解消を目指す。


■電動船を開発するCallboats

Callboatsは「The sea. For everyone」をテーマに、電動ボートの開発を手掛けている企業だ。

ボートは継続的に大きな電力を必要とするため、電動化には適していないモビリティとされていた。またボートは99%の時間係留されており、使用率が低いという課題もあったという。Callboatsはカーボンニュートラルの実現とボートの使用時間増加を目指し、誰でも使用できるようなボートの開発に数年前から着手していた。

なおこの事業は、ヘルシンキのイノベーション部門「Forum Virium Helsinki」のスマートモビリティソリューションのプロジェクトの1つとして行われているもののようだ。同社は2020年からオンデマンド・ボートの実用化パイロット・プロジェクトに参加しており、約1年間にわたり船長が乗船した状態での水上タクシーサービスを試験的に提供してきた。


■自動運転水上タクシーの仕組み

フィンランドにおいては、現在は法規制により、自動運転ボートは最低1人の乗組員が乗船する必要がある。

船長付きのボートでの移動は、短い距離でも50ユーロ(約8,000円)以上する。そしてその60〜70%は人件費となっている。水上タクシーが自動運転化されることで、低価格でのサービス提供が可能になる。

自動運転のボートには360度カメラやセンサー、AI(人工知能)システムが搭載されており、危険を回避しながら航行する。また送迎桟橋に桟板を自動展開するなど、すべての作業を自動で行うことができる仕組みになっているようだ。

ボートは10人乗りで、時速約10キロという低速でゆっくりと航行する。屋根にソーラーパネルが設置されており、天気が良い日はソーラー充電できるが、その他はEV用急速充電器を用いるという。ちなみにこの水上ボートは、1人の船長が5隻のボートを遠隔操作することができる。


出典:Callboats公式サイト
■Uberのように手軽に水上タクシーを呼び出し

Callboatsの動画によると、ユーザーがスマホアプリで自動運転水上タクシーを呼び出すと、無人のボートが船着場まで自動で航行する。乗客が乗り込み、再びアプリで指示すると、ボートがスタートし、目的地まで送り届けるといった流れになっているようだ。同社によると、配車アプリ大手の米UberやエストニアのBoltと同様の仕組みだという。

ボートは側面がオープンな構造になっており、移動のみのほか、観光用途での使用も期待できそうだ。

調査によると、海上での事故の80〜90%は人為的なミスによるものだという。Callboatsは自動運転水上タクシーの導入により、カーボンニュートラルの実現とコスト削減のほか、安全面の向上も実現できるとしている。早期の本格実用化が待たれる。

▼Callboats公式サイト
https://callboats.com/

【参考】関連記事としては「自動運転船、国・民間の取り組み解説」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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