「自動交渉AI」を活用した無人航空機運行管理システムを開発するIntent Exchange株式会社(本社:東京都目黒区/代表取締役:中台慎二)は2023年8月31日までに、新株予約権による資金調達を実施したことを発表した。
引受先は、DRONE FUNDや東京大学協創プラットフォーム開発、NEC、ならびにそのファンドとなる。
同社はドローンの運航における自動交渉AI技術を開発している。今回の資金調達により、エアモビリティ領域以外への事業展開を立案するとともに、エアモビリティ領域でのサービス構築を行っていくとしている。
■2023年2月に設立されたIntent Exchange
Intent ExchangeはNECからのカーブアウト(事業の切り出し)として設立された企業だ。設立は2023年2月。モビリティ運航管理や企業間取引・調整に関連する技術を開発しているほか、システムインテグレーションサービスの提供などの事業を手掛けている。
代表取締役の中台氏は、NECで分散システムや機械学習の研究開発に長年携わり、その後NECや理化学研究所、産業技術総合研究所(産総研)で自動交渉AIの研究開発を主導した経験を持つ。
▼空飛ぶクルマ運航管理事業|Intent Exchange株式会社|空の移動革命に向けた官民協議会
https://www.mlit.go.jp/common/001598453.pdf
■自動交渉AIとは?果たす役割は?
冒頭でも触れた「自動交渉AI」とはどういうものか。
Intent Exchangeはモビリティとサプライチェーンの調整DXを実現するために、UTM(無人航空機の運航管理システム)に自動交渉AIを導入している。
【参考】UTMは、運航計画や運航者の登録管理、飛行記録など、総合的な運航管理を支援するためのシステムのことで、ドローンを安全で効率的に運航させるために必要な仕組みだ。
UTMにおける運航者が他の運航者との調整を支援する機能では、現在は運航者間で経路が重複した際には、運航者間で電話やメールといったアナログな方法で運航経路やタイミングを調整する必要がある。自動交渉AIにより、この調整をデジタルによって自動的に行うことができるようになるという。
なお、自動交渉AIは機械学習とゲーム理論に基づく技術になるという。
■自動交渉AIをモビリティ以外でも展開へ
Intent Exchangeは、今後さまざまな自律モビリティが遠隔制御され、相互に調整することが求められる社会が到来すると考えており、自律モビリティの運航管理に加え、サプライチェーンマネジメントの領域でも自動交渉技術の導入と事業化を推進していく計画だ。
エアモビリティ領域でのサービス構築については、まずは地上リスク評価サービスを2025年始めに開始し、UTMプロバイダーの認定とUTM利用の義務化の時期を見据え、UTMサービス事業の開始に向けた開発を進めていくという。
■注目度大の自動交渉AI技術
自動交渉AI技術は、今後自動運転車にも活用されていくはずだ。自動運転システムはAIにより構築されており、最近は自動運転車の協調制御に関する取り組みが活発になってきている。
自動交渉AIはまだ聞き慣れないワードであるが、それを手掛けるIntent Exchangeへの注目度は今後増していきそうだ。
【参考】関連記事としては「空飛ぶ車で需要増!?無人交通管理(UTM)市場、年20%成長へ 2020〜28年」も参照。