フィンランドのGroke Technologies(グローク・テクノロジーズ)の日本支社(Japan Branch)の2022年12月期決算公告が、このほど官報に掲載された。2022年12月期の当期純利益は、30万円であった。
Groke Technologiesは、船舶の自動運航関連技術開発などを手掛けるスタートアップで、三菱商事や三井住友ファイナンス&リースが出資する注目企業だ。
■決算概要(2022年12月31日現在)
賃借対照表の要旨(単位:千円)
▼資産の部
流動資産 861
資産の部合計 861
▼負債及び純資産の部
流動負債 561
負債合計 561
株主資本 300
・利益剰余金 300
・・(うち当期純利益)(300)
純資産合計 300
負債及び純資産の部合計 861
■三菱商事が出資するGroke Technologies
Groke Technologiesは、ロールスロイス自律運航船舶技術開発研究センター出身者4人により、2019年10月にフィンランドで設立された。船舶の自動運航関連技術の開発や設計、製造、販売を手掛けている。日本拠点を設立することが、2022年8月に発表された経緯がある。
創業者はロールスロイス時代から三菱商事と友好的な関係を築いており、自律運航技術に関する将来のビジョンが一致していたという。Groke Technologies設立にあたり、最初に三菱商事に出資や提携についてのアプローチを行い、設立と同じタイミングの2019年10月に出資を受けている。両社は共同で「状況認識システム」の開発に取り組んだ。
その結果、製品化したのが「Groke Pro」で、2022年5月に発売を開始した。これは、運航する海域の状況を監視し、乗組員に危険を知らせるための状況認識システムだ。このシステムはセンサーユニットや処理ユニット、ユーザー・インターフェース・デバイスにより構成されている。新造船だけでなく、既存船への搭載も可能だという。
■日本の大手企業が多数出資
2021年6月に、世界最大の気象サービス会社であるウェザーニューズと海運業界の自律化とデジタル化のために提携した。同年11月には、川崎汽船と日本無線、YDKテクノロジーズが主導する共同研究開発に参画した。自律運航船および関連技術の導入を促進することを目的とした研究になる。
また同月に三井住友ファイナンス&リースが出資した。三井住友ファイナンス&リースは、この出資を通じてGroke Technologiesの製品をリースし、国内内航海運や漁業分野でのプレゼンスを高め、将来的には自動運航船事業への参入を目指すとしている。そのほか日本の大手タンカーである上野トランステック、鶴見サンマリン、旭タンカーの3社からも出資を受けている。
2022年12月には、東京汽船からの出資を受けた。タグボートに特化したシステム開発に向けた協業についても検討しているという。
■今後の躍進に対する期待感強し
Groke Technologiesは、Groke Proの新機能として、リスク分析機能や注意ゾーン警報、リスクコンパス機能、相対速度追従、マップルーラー、録画機能などが備わったことを2023年3月に発表した。
日本企業が多数注目する同社の取り組みに引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転船、国・民間の取り組み解説」も参照。